AI技術を活用して農薬を再発明することを目指すスタートアップ、バインドウェルが約6億円(約9300万円)のシードラウンドを完了したと発表しました。この資金調達は、ジェネラル・キャタリストとAキャピタルが主導し、Yコンビネーターの共同創設者であるポール・グレアム氏も個人的に出資したということです。
バインドウェルは、AIモデルを使って新しい農薬分子を社内で設計し、その知的財産を直接ライセンスするという戦略を採用しています。従来の農薬業界は古い化学物質に依存していますが、バインドウェルはこの状況をAI技術で打破しようとしています。
国連食糧農業機関によると、農業における農薬使用量は過去30年間で倍増しましたが、毎年40%の作物が害虫や病気で失われています。害虫が進化し抵抗性を持つようになる中、農家は同じ収穫量を維持するためにより多くの化学物質を使用せざるを得ない状態です。バインドウェルは、AIを用いて全く新しい、よりターゲットを絞った分子を発見することで、この悪循環を断ち切る方針です。
バインドウェルは、2024年に18歳のタイラー・ローズ氏と19歳のナヴィ・アナンド氏によって設立されました。彼らはAIを用いた薬物発見技術を農業に適用し、新しい農薬分子の特定とテストを加速させることを目指しています。
同社のAI技術は、Foldwellという構造予測モデルやPLAPTというタンパク質-リガンド相互作用モデルを含んでおり、これにより既知の合成化合物を短時間でスキャンすることが可能です。また、APPTというタンパク質-タンパク質相互作用モデルも含まれ、バイオ農薬のスクリーニングにおいて優れた性能を発揮するとしています。
バインドウェルは現在、サンカルロスの研究所でAI生成分子の有効性をテストしており、第三者パートナーとともにモデルの検証を進めています。また、インドや中国の関係者とフィールドテストの実施に向けた話し合いを開始しています。
同社は現在、4人のチームで運営されており、分子合成のために外部の契約者とも協力しています。バインドウェルは、SVエンジェルやキャラクターキャピタルからの支援も受けています。
