アメリカの自動車大手GM(ゼネラル・モーターズ)は、シボレーブランドのEV(電気自動車)ピックアップトラック「シルバラードEV」について、昨年のアメリカおよびカナダでの販売台数が約1万4000台にとどまったと発表しました。高い性能を備えながらも販売が伸び悩んでおり、トラック市場特有の保守的な顧客層の開拓が課題となっているということです。
「シルバラードEV」は、乗用車に近い運転感覚や広大な荷台を備え、1回の充電で400マイル(約640キロメートル)以上の走行が可能です。また、災害時には家庭への給電機能を持つほか、静粛性の高い車内空間を実現しています。さらに、グーグルのシステムを搭載した車載情報機器や、「スーパークルーズ」と呼ばれる高度な運転支援システムを採用しており、渋滞時などの運転の負担を軽減する機能が高く評価されています。
しかし、販売実績は厳しい状況にあります。ガソリンエンジンを搭載した従来型の「シルバラード」が四半期で販売する台数と比較すると、EVモデルの年間販売台数はその10分の1に相当します。
販売不振の背景について、専門家からは複数の要因が指摘されています。一部では価格の高さが理由とされていますが、アメリカにおける大型ピックアップトラックの平均購入価格は6万6000ドル(約1023万円)であり、「シルバラードEV」の標準モデルとの価格差は5000ドル(約78万円)にとどまります。なお、航続距離を延長した上位モデルはさらに2万ドル(約310万円)高く設定されています。
また、荷物を牽引する際の航続距離の低下を懸念する声もあります。しかし、調査によると大型トラック所有者の約75%は年に1回以下しか牽引を行わないため、これが決定的な要因ではないとみられています。
最大の要因として、トラック市場の顧客層が持つ保守的な傾向を自動車メーカーが見誤った可能性が指摘されています。多くの潜在的な購入者は、EV特有の航続距離や充電インフラに対する不安を抱えており、これがEVピックアップトラック全体の普及の足かせとなっているということです。
こうした課題に対し、GMはコスト削減に向けた新たな戦略を打ち出す方針です。同社は今後、「リチウム・マンガン・リッチ(LMR)」と呼ばれる新しいバッテリー技術を導入することを示唆しています。これにより、航続距離を維持したまま製造コストを6000ドル(約93万円)削減できる見込みだとしています。このコスト削減が販売価格に反映されれば、ガソリン車と同等の価格帯を実現できる可能性があり、今後の市場展開が注目されています。
