スウェーデンの電気自動車(EV)および自動運転トラックを開発する企業「アインライド」は、アメリカのテスラが製造する大型EVトラック「セミ」500台を購入し、自社の配車ネットワークに導入すると発表しました。
導入は9月から始まり、今後24か月間にわたって段階的に行われるということです。これらの車両は、アマゾンなどの顧客企業に提供される予定です。
アインライドは、自社のAI(人工知能)を活用した運行管理プラットフォーム「Saga」を通じて、これらの車両を管理する方針です。これにより、顧客企業はトラックを自社で所有する財務的・管理的な負担を負うことなく、EVトラックによる貨物輸送の利点を活用できるとしています。
同社のルーズベ・チャーリCEOは、「今回の導入は、顧客が求める規模での事業展開が可能であることを証明するものだ」と述べています。
一方、この大規模な計画が実現するかどうかは、テスラ側の生産能力にかかっているとみられています。テスラは2017年に「セミ」のコンセプトを発表しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大や世界的なサプライチェーンの混乱による度重なる延期を経て、5年後にペプシコなどの顧客に最初の納車を行いました。
テスラのネバダ州の工場で量産ラインから最初の「セミ」が出荷されたのは2026年4月のことでした。しかし、テスラは2026年中の「本格的な量産」という目標を後退させています。同社は第2四半期の決算発表などで、「セミ」や自動運転車「サイバーキャブ」の量産を開始するため、新型バッテリー「4680」を中心にバッテリー生産の拡大に注力していると説明しています。
6月に株式を公開したアインライドは、現在、ハイネケンやペプシコなどの企業向けに約200台の大型EVトラックを運行しています。また、運転席のない特徴的なデザインの自動運転トラックの開発も進めています。同社のAIプラットフォーム「Saga」は、これらの車両の使用状況やルート設定、充電のタイミングなどを総合的に管理するシステムだということです。
今回のテスラとの契約は、アインライドにとって事業規模を大幅に拡大する契機となります。自社の車両数を3倍に増やすとともに、AIソフトウェアの販売促進にもつながるとしています。導入される車両は北米全域の顧客に提供され、カリフォルニア州、ジョージア州、ニュージャージー州、テキサス州などの主要な物流拠点へEV貨物ネットワークを拡大する方針です。なお、購入資金の調達には第三者機関を利用するということです。
さらにアインライドは、今回の購入により、荷主との共同事業計画に基づく約8億ドル(約1240億円)の潜在的な長期経常収益を、実際の収益に転換できると見込んでいます。
設立から10年を迎えるアインライドは、ソフトウェアやEVトラック、自動運転システムなど、事業の基盤となる技術開発に長年注力してきました。2026年に入り、事業規模の拡大をさらに加速させています。
今年4月にはアマゾンと契約を結び、75台の大型EVトラックを同社の貨物ネットワークに導入したほか、アメリカ国内の5か所で充電インフラを提供しています。また、EV充電企業の「フリップターン」を買収し、EVトラックと効率的な充電管理ソフトウェアを組み合わせた包括的なサービスの提供を目指す方針です。
