アメリカの通信社ブルームバーグは、IT大手アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)の在任期間中に、同社の株価が配当を含めて2736%上昇したとする分析結果を発表しました。次期CEOと目されるジョン・ターナス氏にとって、前任者の圧倒的な実績を引き継ぐことは容易ではないとみられる一方で、市場関係者からは、過去の成功モデルを踏襲する必要はないとの見方が示されています。
ブルームバーグの報道によりますと、クック氏がCEOに就任した当時のアップルの時価総額は3500億ドル(約54兆2500億円)未満でした。その後、同氏はiPhoneやMacコンピューターの製造にとどまらず、スマートウォッチやワイヤレスイヤホン、さらに金融サービスなどを展開し、事業の多角化を推進しました。その結果、現在の企業価値は4兆6000億ドル(約713兆円)規模にまで成長したということです。この間、同社の株式の総利回りは2736%という驚異的な上昇を記録しています。
このような圧倒的な財務的成功を収めたクック氏の後任として、現在ハードウェアエンジニアリング担当幹部を務めるジョン・ターナス氏が有力視されています。しかし、ターナス氏は前任者の経営手法をそのまま模倣する必要はないと指摘されています。
その理由として、2つの点が挙げられています。第一に、アップルの歴代トップは、財務的な成功は優れた製品を追求した結果に過ぎず、直接追い求めるべき目標ではないという経営哲学を掲げてきたということです。創業者のスティーブ・ジョブズ氏は「本当に素晴らしい製品を作ることに集中すれば、利益は後からついてくる」と語っていました。クック氏もこの理念を引き継ぎ、四半期ごとの業績にとらわれず、企業の長期的な方向性に注力する方針を示してきました。
第二に、ジョブズ氏がクック氏にCEOを引き継ぐ際、「私ならどうするかと問うのではなく、ただ正しいと思うことをしなさい」と助言したエピソードがあります。ターナス氏も同様に、過去のリーダーの判断基準に縛られることなく、最良の製品開発と長期的な成功に向けた企業文化の醸成を目指す方針をとるべきだとしています。
クック氏がジョブズ氏とは異なるリーダーシップを発揮したように、ターナス氏も独自の経営スタイルを築くことが予想されます。過去の成功の方程式を模倣するのではなく、将来を見据え、自らの指針に従って企業を導くことが求められているということです。
