IT大手のアマゾンは、配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズが、同社のクラウドサービス「AWS」における自社開発半導体の利用を拡大する契約を結んだと発表しました。
ウーバーは今後、消費電力を抑えたサーバー向けCPU「Graviton(グラビトン)」の利用を拡大する方針です。さらに、画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディアに対抗して開発された最新のAI半導体「Trainium3(トレイニアム3)」の試験運用も新たに開始するということです。
今回の契約拡大は、エヌビディアへの長期的な脅威という側面よりも、アマゾンがクラウド市場で競合するグーグルやオラクルを強く牽制する狙いがあるとしています。
ウーバーはこれまで自社でデータセンターを運営してきましたが、2023年にオラクルおよびグーグルと複数年にわたる大規模なクラウド契約を締結しました。自社のITインフラの大半を、これら2社のクラウドに移行する計画を掲げていました。
ウーバーは昨年12月にも、この移行計画を順調に進めていると公式ブログで強調しています。特にオラクルのクラウド環境において、半導体企業「アンペア(Ampere)」が製造するチップを活用していると言及していました。
この背景には、シリコンバレーの企業間の複雑な関係性があります。アンペアは、インテルの元幹部が設立した企業で、オラクルが株式の約3分の1を保有していました。なお、この元幹部は、2016年にオラクルが93億ドル(約1兆4415億円)でクラウド企業「ネットスイート」を買収した際、取締役として関与した主要人物でもありました。この買収をめぐっては、買収額が過大だとして株主から訴訟が起こされる事態にも発展しています。
昨年12月、ソフトバンクグループがアンペアを買収し、オラクルは保有株式の売却により27億ドル(約4185億円)の税引前利益を得たと報告しています。これに伴い、元幹部は2024年末にオラクルの取締役を退任し、アンペアからも離れています。
現在、オラクルはAI開発のオープンAIなどのためにデータセンターを建設する資金調達を急いでいます。同社のラリー・エリソン会長は、データセンター向けの半導体を自社で設計することはもはや競争上の優位性を持たないと判断し、アンペアの株式を売却したと説明しています。今後は半導体を外部から調達する方針で、エヌビディアと大規模な契約を結んでいます。
また、オラクル、ソフトバンク、そしてエヌビディアは、オープンAIが計画する大規模なデータセンター建設の資金調達において、相互に結びついた取引関係を構築しているということです。
このような状況のなか、アマゾンは自社開発の半導体を提供できる強みを活かし、オラクルの主要顧客であったウーバーからより大規模な契約を獲得した形となります。
アマゾンのAI半導体を採用、あるいは利用を拡大する大手IT企業には、ウーバーのほかにアップルやオープンAI、AI開発のアンソロピックなどが名を連ねています。アマゾンのアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は昨年12月、自社開発のAI半導体事業がすでに数十億ドル(数千億円)規模の事業に成長していると述べています。
