インドの電動モビリティ関連のスタートアップ企業「Yulu(ユル)」は、日用品などを短時間で配達する「クイックコマース」の需要拡大を背景に、新たに9300万ドル(約144億円)の資金を調達したと発表しました。
南部ベンガルールに拠点を置く同社は、配達員向けに電動二輪車の定額貸し出しサービスを提供しています。これにより、配達員は自身の車両を購入することなく、すぐに業務を始めることができるということです。現在、約5万台の車両を運用しており、1日あたり75万件以上の配達に利用されているとしています。
今回調達した資金は、今後2年間で車両数を20万台に増やすほか、新たな物流ニーズに対応するためのより高速な電動二輪車の導入に充てられる方針です。
調達額のうち、6300万ドル(約98億円)は投資ファンドのGEFキャピタル・パートナーズが主導する株式投資で、3000万ドル(約47億円)は融資によるものです。アミット・グプタCEOによりますと、株式投資のうち約550万ドル(約9億円)は、初期の投資家から株式を買い取るために使用されたということです。
関係者によりますと、今回の資金調達による同社の企業評価額は約1億7000万ドル(約264億円)に上るということです。グプタCEOは、将来の株式上場を見据えており、今回が上場前最後の株式による資金調達になる見通しを示しました。今後の車両拡大は、主に融資やリースを通じて資金を確保する方針です。
同社の財務状況について、昨年度にEBITDA(利払前・税引前・減価償却前利益)の黒字化を達成しており、来年には利払前・税引前利益での黒字化を目指しているとしています。
同社は2017年に都市部の通勤者向けシェアサイクル事業として創業しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を機に、食品や日用品の配達需要が急増したことで事業の方向性を転換しました。現在、収益の約95%は配達員向けの定額貸し出しサービスが占めており、以前計画していた消費者への直接販売は取りやめたということです。
今後の成長戦略として、同社は「Yulu Express」と呼ばれる、より大型で高速な電動スクーターを導入する計画です。これは、長距離の配達やバイクタクシーなどの用途を想定しており、計画している20万台の車両のうち、約3分の1をこの新モデルが占める見通しです。
現在、同社はインド国内の12都市で事業を展開しており、来年までにチェンナイやプネを含む約20都市に拡大することを目指しています。グプタCEOは、アマゾンやウォルマート傘下のフリップカートなど主要なプラットフォームと連携しているとした上で、自社の役割を「モビリティ分野のインフラ提供者」と位置づけています。
