カナダの諜報機関である通信安全保障局(CSE)は、国家の安全を脅かす麻薬密売組織や過激派、それにサイバー攻撃を行うランサムウェアのグループに対し、去年、政府の承認のもとでサイバー作戦を実施し、その活動を妨害したと発表しました。
通信安全保障局が先週公表した年次報告書によりますと、違法薬物の密輸からサイバー攻撃に至るまで、カナダと同盟国が直面する主要な安全保障上の脅威が浮き彫りになっています。同局は、海外の情報の収集や政府のシステムの防衛、さらにオンライン上の敵対勢力の活動を妨害することを任務としています。
報告書によりますと、同局は去年、カナダの国家安全保障や治安を脅かす海外の組織に対し、3件の「積極的サイバー作戦」を実施したということです。
このうちの1件は、合成麻薬「フェンタニル」の製造に使われる化学物質の販売を仲介していた海外のサイバー犯罪者を標的としたものです。同局は仲介者に関する情報を収集したうえで作戦を行い、組織の活動能力を低下させたとしています。
また別の作戦では、暴力的な思想を広め、カナダを含む各地でメンバーを勧誘していた海外の過激派グループを対象に、通信機器などからデータを収集しました。組織の構造や弱点を分析した結果、グループの信用を失墜させ、新たなメンバーを過激化させて勧誘する能力を制限することに成功したということです。
さらに、身代金要求型のコンピューターウイルス「ランサムウェア」を提供する犯罪グループへの対策も行われました。同局は、カナダの医療や交通、ビジネス分野を標的とする手口を特定し、サイバー作戦を通じてグループのインフラを機能不全に陥らせたほか、サーバー上のデータの多くを削除したとしています。
これに加えて同局は、カナダを標的とする主要なランサムウェアグループ10組に対しても、インフラの一部を使用不能にする技術的な妨害工作を並行して実施したということです。
報告書では、標的となったハッカーや過激派などの所在地や、作戦の具体的な手法については明らかにされていません。諜報機関が敵対勢力に対してサイバー攻撃を行うことは珍しくありませんが、手法を保護するため、その詳細が公表されることは極めて異例だということです。
アメリカ政府のサイバー作戦を担うサイバー軍も、同盟国に専門チームを派遣してネットワークを保護し、敵対勢力によるサイバー攻撃を妨害する作戦を定期的に実施しています。こうしたアメリカ主導の作戦は、2018年には数件でしたが、2025年には20件以上に増加する見通しだということです。
一方、カナダの通信安全保障局は、国内の政府機関や重要なシステムを狙ったフィッシング攻撃に対しても、防御的なサイバー作戦を1件実施しました。攻撃グループのインフラを妨害し、カナダ国民を標的にする能力を低下させたとしています。
