アメリカの宇宙開発企業スペースXによる買収を控えるAIコーディング支援のスタートアップ企業「Cursor(カーソル)」は、世界有数のソフトウェア開発者市場であるインドにおいて、同国に特化した低価格の定額制サービス(サブスクリプション)の提供を開始したと発表しました。
同社が新たに導入した「Cursor Start」は、インド向けに特化した月額649ルピー(約1,100円)のプランです。これは、月額20ドル(約3,100円)の通常プラン「Pro」を大幅に下回る価格設定となっています。
インドは同社にとって世界第3位の市場であり、過去1年間でユーザー数が3倍以上に急増するなど、事業戦略上の重要性が高まっているということです。アジア太平洋・日本地域の責任者を務めるサイモン・グリーン氏は、「インドの技術力の高さと豊富なエンジニア人材は、事業規模を拡大する上で非常に適している」と述べています。
ソフトウェア開発のプラットフォームを提供するGitHub(ギットハブ)によりますと、インドの開発者数は2,700万人を超え、アメリカに次ぐ世界第2位の規模となっています。
新プランでは、同社独自のAIモデルである「Composer 2.5」や「Grok 4.5」などが利用でき、無料プランよりも利用制限が緩和されています。一方で、上位プランとの差別化を図るため、オープンAI(OpenAI)などの他社が提供する最先端のAIモデルや、一部の高度な機能へのアクセスは含まれていないということです。
同社は、VPN(仮想プライベートネットワーク)を利用した他国からの不正アクセスを防ぐため、複数の確認措置を講じるとしています。
インド市場をめぐっては、オープンAIなどの世界的AI企業も相次いで現地向けの低価格プランを導入しており、競争が激化しています。グリーン氏は、今回のインドでの取り組みが成功すれば、他の市場へも同様の価格戦略を展開する可能性があるとしています。
さらに同社は、インド国内での事業拡大に向け、営業担当者や政府との調整を担う人材の採用を進めています。今後は、個人の開発者やスタートアップ企業だけでなく、銀行などの大企業への導入を目指す方針です。
今回の新プランは、他社のAIモデルに依存せず自社モデルを活用することで、低価格でありながら収益性を確保できる仕組みになっているということです。
同社をめぐっては、イーロン・マスク氏が率いるスペースXが約600億ドル(約9兆3,000億円)で買収することで合意しており、手続きは今年の第3四半期に完了する見通しです。買収完了後は、スペースXが展開する衛星通信サービス「スターリンク」のインドにおける事業基盤を活用し、さらなる展開の加速が見込まれています。
