アメリカのIT大手グーグルは、サイバー攻撃を仕掛けるハッカー集団に対する新たな命名規則を導入したと発表しました。複雑化するサイバー脅威を正確に把握し、企業や組織の迅速な対応につなげる狙いがあるということです。
サイバーセキュリティ業界では、過去10年以上にわたり、攻撃集団に独自の名称を付けてきました。しかし、企業ごとに異なる名称が用いられるため、専門家や政府関係者であっても実態の把握が難しくなっているという課題がありました。
こうした中、グーグルは先月、傘下のセキュリティ企業「マンディアント」が用いていた「APT」に数字を組み合わせる従来の方式を廃止し、新たな命名規則を採用する方針を示しました。
新たな規則では、記憶に残りやすい無作為な単語と、攻撃元の国を示す頭文字を持つ単語を組み合わせるとしています。具体的には、2つ目の単語として、中国を拠点とする集団には「C」で始まる「Castle(城)」、イランには「I」で始まる「Ion(イオン)」、北朝鮮には「N」で始まる「Neptune(海王星)」、ロシアには「R」で始まる「Relic(遺跡)」を割り当てる方針です。
グーグルの脅威インテリジェンス部門で最高技術責任者(CTO)を務めるシェーン・ハントリー氏は、社内外の研究者にとって状況を明確にするために今回の刷新が必要だったと説明しています。同部門の主任アナリストによりますと、現在グーグルは複数の国にまたがる5,000以上の攻撃活動のグループを追跡しているということです。
ハントリー氏は、攻撃集団に名前を付ける目的について、単なる分類ではなく、攻撃の主体や手法の基本的な理解を深めるためだとしています。過去の行動パターンや標的を継続的に追跡することで、企業や組織が脅威をいち早く認識し、被害の防止や事案への迅速な対応が可能になるということです。
また、国家の支援を受ける攻撃集団は、標的や活動内容に一貫性があるため、離合集散を繰り返す一般的なサイバー犯罪集団や、請負型のハッカー集団に比べて追跡が容易だとしています。
一方、業界全体で統一した名称を使用しない理由について、ハントリー氏は「どの企業も完璧な監視能力を持っているわけではない」と指摘しています。各社が保有するデータや観測網が異なるため、企業間で情報共有を進めても、完全に同一の視点を持つことは不可能だということです。
グーグルは今回の取り組みを通じて、自社の脅威分析グループとマンディアントの命名規則を統合し、サイバーセキュリティ業界における情報の混乱を軽減させたいとしています。
