アメリカの車両運行管理システムなどを手がけるIT企業「サムサラ(Samsara)」は、物流業界で深刻化する貨物の盗難や紛失を防ぐため、名刺サイズの使い捨て可能な追跡用ラベルを新たに開発したと発表しました。
世界的に貨物の盗難手口が巧妙化する中、物流業界では対策が追いついていないのが現状です。港や物流センターなどの確認地点を通過したあと、輸送中の貨物の所在が分からなくなることが大きな課題となっていました。
今回発表された「サムサラ・トラッキング・ラベル」は、一般的な配送ラベルのような外観をしています。内部には小型の亜鉛電池と省電力のBluetooth技術が組み込まれており、サムサラが展開する数百万台の既存デバイスのネットワークを通じて、リアルタイムで位置情報を把握できるということです。
同社はこれまでにも顧客向けに追跡システムを提供してきましたが、装置が大きく高額になる傾向がありました。その後、小型化を進めた製品も開発されましたが、依然として高価であり、輸送後に回収する必要があるため、片道のみの輸送には不向きでした。
こうした顧客の要望を受けて開発された今回のラベルは、最大9か月の待機状態を維持でき、起動後は約45日間にわたって通信が可能です。また、環境への配慮と使い捨てを可能にするため、リチウム電池ではなく亜鉛電池を採用したとしています。
サムサラの担当者は、この技術が主に重要貨物の輸送を担う大企業向けに提供されるとの見通しを示しています。追跡機能によって、貨物の遅延や経路変更が発生した際にも迅速な意思決定が可能になり、事後対応から事前対応へと物流のあり方を転換させる方針です。
物流の可視化をめぐっては、アメリカの物流大手UPSもRFIDセンサーを用いた追跡計画を発表するなど、業界全体で取り組みが進んでいます。しかし、サムサラは自社の移動式センサーネットワークを活用することで、より広範囲で効果的な追跡が可能になるとしており、「貨物窃盗グループの摘発にもつながる」と期待を示しています。