アメリカの著名なAI投資家であるエラッド・ギル氏は、スタートアップ企業の事業売却(エグジット)の最適なタイミングについて、企業価値がピークに達する「12か月の期間」を見極めることが重要だと指摘しました。AI分野での投資や買収が活発化する中、経営者に対して戦略的な判断を促す狙いがあるということです。
ギル氏は、自身が共同で司会を務めるポッドキャスト番組の中で見解を示しました。それによりますと、ほとんどの企業には企業価値が最高潮に達するおよそ12か月の期間があり、その後は価値が急落する傾向があるということです。
大きな利益を確保した企業は、好調な時期がいつまでも続くと過信せず、価値がピークに達する瞬間を的確に捉えているとしています。過去の事例として、ソフトウェア会社のロータスやIT大手のAOL、それにマーク・キューバン氏が手がけたブロードキャスト・ドットコムなどを挙げ、いずれも価値が頂点に達した時期に事業を売却したと説明しています。
最適なタイミングを逃さないための具体的な対策として、ギル氏は、年に1回から2回、事業売却について議論する取締役会をあらかじめ設定することを提案しています。議題を定例化することで、感情に流されずに客観的な判断ができるようになるとしています。
現在のAIスタートアップ企業の多くは、大規模な基盤モデルがまだ特定の分野に進出していないことによって事業が成り立っている側面があるということです。しかし、こうした状況は長くは続かないと予想されています。
ギル氏は、「他社との差別化や事業の優位性に変化が見られた際、今後6か月間が自社にとって最も価値が高まる時期かどうかを問い直すことが重要だ」と述べ、市場の変化に合わせた柔軟な経営判断の必要性を強調しています。
