シリコンバレーに本社を置くAIハードウェア企業、セレブラス・システムズは、IPO計画を延期しつつも新たに約1100億円(1.1ビリオンドル)の資金を調達したと発表しました。今回の資金調達は、フィデリティとアトレイデス・マネジメントが主導し、タイガー・グローバル、ヴァロール・エクイティ・パートナーズ、1789キャピタルなどが参加しました。
セレブラスは2015年に設立され、AI専用のチップやハードウェアシステム、クラウドサービスを提供しています。これまでに約2000億円(2ビリオンドル)を調達しており、2021年にはアルファ・ウェーブ・ベンチャーズが主導する250億円(2.5億ドル)のシリーズFラウンドで、企業価値は4000億円(4ビリオンドル)以上と評価されました。
セレブラスの共同創業者兼CEOであるアンドリュー・フェルドマン氏は、2024年8月にAI推論サービスをリリースしたことが、同社の成長を牽引していると述べています。フェルドマン氏によると、2024年第2四半期にはAIの有用性が高まり、推論への需要が急増したということです。
同社は2025年にダラスやオクラホマシティ、サンタクララなどに新たに5つのデータセンターを開設しました。今後もモントリオールやヨーロッパなどでの拡大を予定しています。この資金は、データセンターの拡大と米国での製造拠点の拡充、技術開発に充てられる方針です。
セレブラスは当初、2024年9月30日にIPOを申請しましたが、規制上の遅れが生じました。アブダビに拠点を置くクラウドおよびAI企業G42からの335億円(3.35億ドル)の投資が、米国外国投資委員会(CFIUS)の審査対象となり、さらに2025年初頭にはCFIUSの人事未定が原因で遅延しました。
フェルドマン氏は、IPOの計画は依然として進行中であるとし、具体的な時期については明言を避けました。同社は、上場前に大規模な資金調達を行うという、後期スタートアップ企業として一般的な道を進んでいるとしています。
「今回のラウンドで協力してくれるリーダー企業を選びました。これらの企業は、主に上場企業を対象とした資金調達を行っており、我々の上場を支援してくれると期待しています」とフェルドマン氏は述べています。
