アメリカのIT大手セールスフォースは、大規模な技術イベントにおいて、半導体大手NVIDIA(エヌビディア)と共同で新たな推論AIモデル「Koa」を開発したと発表しました。
「Koa」は、セールスフォースにとって初となる推論モデルであり、NVIDIAが公開しているAIモデル「Nemotron」を基盤に構築されています。両社は共同で追加の学習を行い、営業やマーケティング、顧客サポートなどの業務に最適化させたということです。
現在、独自の技術を持つ最先端のAI開発企業は、顧客企業に対して自社のモデルにデータを直接入力させ、数百万ドル(数億円規模)の費用をかけさせるビジネスモデルを推進しています。しかし、セールスフォースは今回の独自モデルの提供を通じて、企業が求める安全性やコスト削減のニーズに直接応える方針です。
新たなAIモデルは、セールスフォースが提供する業務自動化プラットフォーム「Agentforce」の新たな選択肢として提供されます。これまで同プラットフォームでは、複雑な推論が必要なタスクについては、「ChatGPT」や「Claude」といった外部の最先端モデルに依存していました。
セールスフォースのAI部門の責任者であるジャイエシュ・ゴビンダラジャン氏は、「これまで独自の推論モデルを開発したかったが、基盤となる適切なモデルがなかった。NVIDIAのモデルが登場したことで、データの出所が明確で安全なアメリカ発のAIを活用できるようになった」と述べています。
また、学習プロセスにおいては、実際の顧客データを使用せず、顧客対応や営業の現場を模した「合成データ」を生成して学習させたということです。これにより、企業のプライバシーを保護しながら、業務に直結する高い性能を実現したとしています。
NVIDIAの担当者も、「新しいモデルは推論処理を効率化する独自の構造を持っており、データ処理の単位であるトークンの消費を抑え、コストパフォーマンスに優れている」と説明しています。
一方で、セールスフォースは外部のAI企業との連携も継続する方針です。同社は新たにAI開発企業Anthropic(アンスロピック)との提携による「Claudeforce」も発表しており、顧客企業が自社のデータを安全な環境に保ちながら、外部のAIモデルを利用できる仕組みも併せて提供するとしています。
