テスラは、AIスーパーコンピュータ「Dojo」のプロジェクトを終了し、2025年8月中旬にそのチームを解散したと発表しました。これにより、テスラのAI戦略における重要な転換が示されています。
イーロン・マスク氏は、テスラのAIチームが「Dojo」に注力する方針を2024年7月に示していましたが、同年10月のロボタクシー発表後、方針を変更しました。2025年に「Dojo 2」がスケールアップする予定だったにもかかわらず、マスク氏はこれを「進化の行き止まり」と表現し、プロジェクトを終了する決断を下しました。
「Dojo」はテスラの「フルセルフドライビング(FSD)」ニューラルネットワークを訓練するために設計されたカスタムスーパーコンピュータでした。このプロジェクトは、テスラが完全自動運転を達成し、ロボタクシーを市場に投入するための重要なステップとされていました。
しかし、テスラは2024年8月以降、「Dojo」に関する言及をほとんどせず、代わりに「Cortex」という新しいAIトレーニングスーパーコンピュータを推進していました。テスラは2024年第4四半期の株主向け資料で「Cortex」に関する情報を共有しましたが、「Dojo」については何も触れませんでした。
「Dojo」の終了に対する反応は分かれています。一部では、マスク氏が約束を果たせなかった例と見られていますが、他の人々はこれを高リスクな自社開発ハードウェアからパートナーシップに依存する戦略的な転換と見ています。
テスラは2025年8月にサムスンと次世代AI6チップの供給契約を結び、16.5億ドル(約2,558億円)を投じる方針です。このチップはFSDや「Optimus」ヒューマノイドロボットからデータセンターでの高性能AIトレーニングまで対応する設計です。
「Dojo」の終了は、テスラのAI戦略における重要な転換点を示しており、同社が今後どのようにAI技術を発展させていくかが注目されます。