アメリカの電気自動車大手、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、人間の監視を必要としない将来の「完全自動運転」システムを導入するためには、すでに販売された数百万台の車両で部品の交換が必要になることを明らかにしました。これまでソフトウェアの更新のみで対応できると説明してきたため、顧客からの反発や法的な問題に発展する可能性が指摘されています。
マスクCEOは、四半期決算の電話会見でこの方針を示しました。それによりますと、2019年から2023年にかけて販売された「ハードウェア3」と呼ばれる運転支援技術を搭載した車両について、新しいコンピューターやカメラへの交換が必要になるということです。
部品の交換作業には膨大な手間がかかるため、既存のサービスセンターだけでは対応が追いつかないとしています。このためテスラは、主要な都市圏に小規模な工場である「マイクロファクトリー」を建設し、専用の生産ラインを設けて改修作業を進める方針です。マスクCEOは「サービスセンターだけで行えば非常に遅く、非効率的だ」と述べています。
テスラはこれまで、ソフトウェアの更新だけで完全自動運転が可能になると説明して車両を販売してきました。しかし、マスクCEOは1月、現在のハードウェアでは高度な自動運転システムを稼働させるには不十分だと認め、「購入者のコンピューターをアップグレードしなければならない。苦痛で困難な作業だが、やり遂げる」と述べていました。一方、会社の最高財務責任者(CFO)は、そのわずか6か月前の10月に「まだ完全には諦めていない」と述べるなど、説明に食い違いもみられました。
テスラは、現在のシステムを改良したソフトウェアを引き続き提供するとしています。しかし、マスクCEOは「ハードウェア3には、無人の完全自動運転を実現する能力はない」と述べ、本格的な自動運転の実現には物理的な部品のアップグレードが不可欠だという認識を強調しました。
