アメリカの動画配信大手「ネットフリックス(Netflix)」において、視聴者が人気番組の第2シーズンを待たずに視聴をやめる傾向が強まっていることが、アメリカのメディアなどの報道で明らかになりました。背景には、TikTokやYouTubeなどの短い動画コンテンツの台頭があり、同社は従来の「イッキ見」モデルからの戦略転換を迫られているということです。
アメリカのブルームバーグ通信が報じたデータによりますと、ネットフリックスの視聴者が番組の第2シーズン以降を視聴しないケースが増加しているということです。この理由として、番組の打ち切りが頻繁に行われることや、シーズン間の待ち時間が長いこと、さらにコンテンツがアルゴリズムに基づいて制作されていることなどが指摘されています。
これまでのネットフリックスの象徴的な視聴スタイルである「イッキ見(一挙配信)」は、従来のテレビ放送と競合していた時代に確立されたものです。2013年にドラマ「ハウス・オブ・カード」の全エピソードを一挙に配信したことは、広告なしで好きな時に視聴できるという点で革新的でした。しかし、現在では同社がテレビ放送との競争に勝利した一方、新たな競合としてTikTokやYouTube、さらには1話数分で完結するショートドラマアプリが台頭しています。
市場調査会社によりますと、2024年の時点でアメリカの成人の1日あたりの平均視聴時間は、ネットフリックスが62.1分であったのに対し、TikTokは58.4分に迫っていたということです。さらに、別の調査では2025年にYouTubeの1日あたりの平均視聴時間が99.1分となり、ネットフリックスの93.4分を初めて上回ったとされています。これらのデータから、現在の真の競争相手はテレビではなく、動画アプリであることが浮き彫りになっています。
また、短い時間で完結するストーリーを求める視聴者が増えており、ショートドラマアプリが急速に成長しています。アプリ調査会社のデータによりますと、代表的なアプリである「ReelShort」の2025年の消費者支出は、前年比119%増の約12億ドル(約1860億円)に達したということです。別のアプリ「DramaBox」も、前年の2倍以上となる約2億7600万ドル(約428億円)の支出を記録したとしています。
こうした状況に対し、ネットフリックスは今年4月、TikTokに似た形式の動画フィード機能を追加するなど、危機感を示しています。しかし、専門家からは、同社が今後、番組の制作や配信のあり方を根本的に見直す必要があると指摘されています。
今後の戦略として、1シーズンで完結する「リミテッドシリーズ」を優先することや、エピソードをより短く分割して配信する手法などが挙げられています。また、「ラブ・イズ・ブラインド」などのリアリティー番組で成功しているように、週1回の配信モデルを拡大することも有効な手段とされています。
ネットフリックスは近年、ポッドキャストやスポーツなどのライブ配信にも投資を拡大する方針を示しています。しかし、従来の長編番組にこだわり続けるのか、より短時間で完結するコンテンツに注力するのか、動画配信のあり方を再び定義する時期に来ているということです。
