ロンドンに本拠を置くノーションキャピタルは、ヨーロッパにおける成長資本の不足に対応するため、1億3000万ドル(約2010億円)の成長ファンドを設立したと発表しました。このファンドは、同社のポートフォリオ企業に対するフォローオン投資を行うだけでなく、ポートフォリオ外の企業にも投資を行う方針です。
ノーションキャピタルのマネージングパートナー、スティーブン・チャンドラー氏によれば、米国のベンチャーキャピタルが自国市場に焦点を移しつつある状況が、ヨーロッパの企業にとって新たな機会を提供しているということです。この新しい成長ファンド「Growth Opps III」は、主に防衛やサプライチェーン物流などの主権需要の高まりに関連する企業に投資する方針です。また、AI分野にも注目しており、ソフトウェアの提供と消費における大きな変革をもたらすとしています。
ノーションキャピタルは、インフラ層への投資は行わず、アプリケーション層における市場規模の大幅な拡大を見込んでいるということです。これまでSaaS、クラウド、フィンテック分野への投資で知られてきた同社ですが、今後はAIを取り入れた新たな分野にも注力する方針です。
このファンドは、既に資金の投入を開始しており、これまでに株式取引APIを提供するUpvestや、無人水上船を製造するKraken、医療分野のソフトウェアと金融製品を開発するNellyなどに投資しています。
成長ファンドのパートナーがフォローオン投資を行い、ポートフォリオ外の成長段階の機会を探るという体制を整えています。ノーションキャピタルの既存パートナーであるステファニー・オプダム氏がこの成長戦略を推進し、元Salesforce Venturesのジェシカ・バートス氏が外部パートナーとして参加します。
ノーションキャピタルは、ヨーロッパや英国、MENA地域、米国の機関投資家との関係を活用して、1億ドルを超える資産を管理しています。チャンドラー氏は、成長資本の不足という根本的な問題に対処するための新たな動きが見られると述べています。
ノーションキャピタルは、これまでに150以上のスタートアップに投資しており、成長資金が不足する中でも、同社のポートフォリオ企業は引き続き有望な投資先として注目されています。