ヒュンダイが、スタートアップ企業「アンケージド・イノベーションズ」と協力し、植物由来の革代替素材の開発を進めていると発表しました。この素材は、自動車の内装に使用されることを目指しており、動物や気候に優しい素材開発が目標です。
アンケージド・イノベーションズは、主に小麦、大豆、トウモロコシといった穀物を利用して革代替素材を開発しています。この素材は本物の革に非常に近い感触を持ち、一部のサンプルは革のような香りも持っているということです。
アンケージドの共同創設者兼CEOのステファニー・ダウンズ氏は、「革には多くの種類があり、異なる動物や厚さ、なめし方があります。我々は簡単にカスタマイズできる素材を開発しました」と述べています。
この素材は、動物の革と比べて95%低いカーボンフットプリントを持つとしています。先月、アンケージドはジャガー・ランドローバーとの提携も発表しました。
革代替素材は自動車業界の初期から存在しており、フォード・モデルTが1913年に初めて使用しましたが、品質は年々向上しています。それでもなお、多くの代替素材は本物の革と同じ感触には至っていません。
アンケージドが開発した素材は、ビーガン向けのハンドバッグや時計のストラップにも使用されていますが、自動車メーカーはより大きなターゲットとされています。革の内装は、自動車の内装のどれだけが革で覆われるか、また品質にどれだけこだわるかによって、2枚から14枚の牛革を消費することがあります。
アンケージドの素材は工場で製造されるため、牛革のような傷がなく、一貫した品質を保つことができます。価格は市場の中間に位置し、小口注文では1平方フィートあたり10ドル(約1550円)未満、大口注文ではその半額になるとしています。
現在、アンケージドは複数の自動車メーカー向けにテストを行っており、耐熱性が最大の課題としています。ある自動車メーカーは95℃で500時間の耐久性を求めており、初回の実験では85℃での500時間耐久を達成したということです。
アンケージドの素材は植物繊維を基にした布に植物由来の革素材を乗せたもので、布と革素材は生分解性を持ちます。さらに、0.01mmのバイオベースのポリウレタン層を加えることで、見た目や触感を調整できるとしています。
また、鉱物色素で色を付け、花の抽出物を用いて様々な香りを加えることも可能です。自動車メーカーは独自の香りを開発したいと考えており、バッグメーカーからは自社の香りを再現できないかという問い合わせもあるとのことです。