アメリカの宇宙開発企業「ブルーオリジン」は、開発中の大型ロケット「ニューグレン」の3回目の打ち上げを実施し、第1段ロケットの再利用には初めて成功したものの、搭載していた通信衛星を予定の軌道に投入できず、主要な任務に失敗したと発表しました。
打ち上げは日曜日にアメリカ南部のフロリダ州ケープカナベラルから行われました。ロケットには、顧客である通信企業「ASTスペースモバイル」の通信衛星が搭載されていました。
ASTスペースモバイルの発表によりますと、衛星はロケットから正常に分離され、電源も入ったものの、ロケットの上段部分の不具合により、予定より低い軌道に投入されたということです。高度が低すぎて運用を維持できないため、衛星は大気圏に再突入させて処分する方針です。
同社は、今回の衛星喪失による損失は保険で補填されるとしています。また、約1か月後には後継の衛星が完成する予定であり、2026年末までにさらに45機の衛星を打ち上げる計画を明らかにしています。
ニューグレンは10年以上の開発期間を経て、2025年1月に初飛行したばかりの大型ロケットです。今回の第2段ロケットの不具合は、ブルーオリジンの今後の商業展開に影響を及ぼす可能性があります。
ブルーオリジンは、NASA(アメリカ航空宇宙局)の月探査プログラム「アルテミス計画」において、主要な打ち上げ事業者となることを目指しています。アメリカのトランプ政権とNASAは、トランプ大統領の2期目が終了するまでに月面着陸船を送り込むよう、ブルーオリジンや競合のスペースXに対して求めています。これに対し、ブルーオリジンのデイブ・リンプCEOは、NASAの月面復帰を支援するために全力を尽くす方針を示しています。
今回の打ち上げでは、第1段ロケットが打ち上げから約10分後に海上の無人船に無事着陸し、同社として初めてロケットの再利用に成功しました。創業者のジェフ・ベゾス氏は、ライバルであるイーロン・マスク氏が所有するSNS「X」で着陸の映像を公開し、マスク氏からも祝福のメッセージが寄せられました。しかし、打ち上げの約2時間後、ブルーオリジンは衛星が予定外の軌道に投入されたと発表しました。
ブルーオリジンは初期の打ち上げから実際の商業衛星を搭載しており、自社の技術に対する自信を示していました。これは、スペースXが大型ロケット「スターシップ」の試験飛行でダミーの重りを使用しているのとは対照的なアプローチです。一方で、スペースXも主力ロケット「ファルコン9」の開発過程においては、2015年や2016年に機体の爆発によって搭載物を失う事故を経験しています。
