イタリアの企業ベンディングスプーンズが、先月、AOLの買収と2億7千万ドル(約4185億円)の資金調達を発表し、企業価値を110億ドル(約1兆7050億円)に引き上げたと発表しました。
ベンディングスプーンズは、エバーノートやミートアップ、ビメオなどの停滞するテックブランドを買収し、積極的なコスト削減と価格引き上げを通じて利益化しています。同社のアプローチはプライベートエクイティに似ていますが、売却の計画がない点が異なります。
一方、キュリアス社の創業者兼CEOであるアンドリュー・デュモン氏も、同様に「ベンチャーゾンビ」と呼ばれる企業を買収し再生する戦略を取っており、AIを活用する新興企業が増える中で、この「ホールドフォーエバー」戦略が今後ますます重要になるとしています。
デュモン氏は、ベンチャー企業の8割が失敗するという「ベンチャーパワー法則」に基づき、ユニコーンではないが優れた企業が多く存在すると説明しています。彼の定義する「優れた企業」とは、低価格で買収し迅速に再生可能な企業のことです。
キュリアス社は2023年に、停滞しているソフトウェア企業を買収するための資本として1600万ドル(約24億8000万円)を調達しました。以来、5社を買収し、これにはベータワークスやSVエンジェルから900万ドル(約13億9500万円)の資金を調達していた17歳のスタートアップ、ユーザーボイスも含まれます。
デュモン氏は、停滞する企業は通常、健康なSaaSスタートアップの評価額の一部で売却されると述べています。コスト削減と価格引き上げを実施することで、利益率を20%から30%に引き上げることが可能です。
キュリアス社は、今後5年間でユーザーボイスのようなスタートアップを50から75社買収する計画です。デュモン氏は、年間100万ドル(約1億5500万円)から500万ドル(約7億7500万円)の収益を上げるスタートアップを対象としており、これはプライベートエクイティやセカンダリー投資家がこれまで無視してきた市場セグメントです。
ベンディングスプーンズの大幅な企業価値の上昇は、この「ベンチャーゾンビ」買収モデルの有効性を証明するかもしれませんが、デュモン氏は新たな競争の増加を予想していません。停滞から利益を生み出すことは容易ではないとしています。
