アメリカの農業用EV(電気自動車)トラクター開発企業「モナーク・トラクター」の資産が、建設機械大手の「キャタピラー」に買収されたことが、アメリカ特許商標庁への提出書類などから明らかになりました。モナーク社はソフトウェア事業への転換を図っていましたが、経営難に陥っていたということです。
この買収は、アメリカの通信社ブルームバーグが最初に報じたものです。モナーク社はこれまでに複数回の人員削減を実施したほか、複数の販売代理店から訴訟を起こされ、さらに主要な製造委託先であった台湾の「ホンハイ精密工業」との提携を失うなど、厳しい経営状況が続いていたということです。
また、数週間前には、共同創業者の一人であるカルロ・モンダヴィ氏が、プラビーン・ペンメツァCEO(最高経営責任者)のソフトウェアを重視する方針に反対し、会社から「追い出された」と発言していました。
今回の買収について、ペンメツァCEOは「当社の技術が世界的な大手機器メーカーに買収された」とする先週の声明以上のコメントを控えています。また、キャタピラー社も現時点でのコメント要請には応じていません。
モナーク社は2018年に設立され、過去8年間で2億ドル(約310億円)以上の資金を調達しました。同社は、果樹園や酪農場などを自動で走行できる電動トラクターの開発を目標としていました。
当初、同社はカリフォルニア州の自社施設で製造を行う予定でしたが、その後、ホンハイ精密工業と提携し、オハイオ州の工場で製造委託を行いました。しかし、ホンハイ側が数百台のトラクターを製造した後の2025年8月に、この工場をソフトバンクに売却したため、モナーク社は製造拠点を失う結果となりました。
この時点でモナーク社の経営はすでに悪化していました。2024年初頭に人員削減を行った後、1億3300万ドル(約206億円)の資金調達を実施しましたが、その数か月後にはさらなる人員削減に踏み切りました。そして、今後はソフトウェア開発と自動運転技術のライセンス供与に事業の軸足を移す方針を示していました。
一方、同社のトラクターを購入した販売代理店からは、「自動運転技術が正常に機能していない」との指摘が相次いでいました。2025年9月に同社を提訴した代理店は、製品に欠陥があると主張しています。モナーク社は裁判でこの主張を否定していますが、同様の訴訟がほかに2件起こされているということです。
さらに、裁判の提出書類によりますと、同社は事実上の倒産手続きにあたる「債権者のための財産譲渡」の手続きに入っていたことが明らかになっています。
共同創業者のモンダヴィ氏は先月、SNS上で「製品の信頼性に問題があり、ハードウェアの改良で解決すべきだと主張したが、CEOはソフトウェアで解決できると考えていた。最終的に意見が対立し、会社を去ることになった」と述べています。
モナーク社は今年に入り、残っていたトラクターの大部分をオークションで売却したということです。
