アメリカの人事・労務管理ソフトウェア企業「Rippling(リップリング)」は、社内のデータ分析やAIの利用状況を一元管理できる新たなシステム「Rippling Data Cloud」の提供を開始したと発表しました。複数のシステムに分散していたデータを統合し、企業の業務効率化やコスト削減を支援するとしています。
同社のパーカー・コンラッドCEOによりますと、現代の企業はデータ管理のために複数のシステムを組み合わせて使用しており、これが複雑化の原因になっているということです。新システムは、これらの機能を1つに統合し、組織の構造や業績指標の変化をシステム上で直接把握できるように設計されています。
コンラッドCEOは自社での運用例を挙げ、AIツールの利用状況を分析した結果を明らかにしました。それによりますと、ある従業員がスケジュール管理などのためにAIツールに対し、年間3万ドル(約465万円)相当のコストをかけていたことが判明したということです。こうした投資対効果の低い支出を可視化することで、企業は無駄なコストを削減できるとしています。
また、エンジニアのAI利用状況と業務評価を照らし合わせた分析では、業績の高い従業員ほどAIへの支出が多い傾向が見られた一方で、コードの修正依頼が多い従業員が無駄にコストを消費している事例も確認されたということです。これを受け、同社は一部の従業員に対するAIの支出上限を引き下げる措置を講じたとしています。
新システムの基本料金は月額20ドル(約3,100円)からとなっており、利用量に応じた追加課金が行われます。現在、約560社が導入しており、このシステムによる新たな収益は月額500万ドルから700万ドル(約7億7,500万円から10億8,500万円)に上るということです。
AIモデルの選定について、同社は現在、費用対効果の観点から「Anthropic(アンスロピック)」のモデルから「OpenAI(オープンエーアイ)」のモデルへの移行を進めているとしています。
さらに同社は今週、即日での給与計算を可能にする新たな金融サービス「Business Banking」も発表しました。これにより、フィンテック企業の「Ramp(ランプ)」などが先行する分野にも参入する方針です。なお、Rampは最近、企業価値を440億ドル(約6兆8,200億円)として7億5,000万ドル(約1,163億円)の資金調達を実施しています。一方、Ripplingの昨年の企業価値は168億ドル(約2兆6,040億円)と評価されていました。
今後の経営戦略について、コンラッドCEOは、研究開発に収益の45%から50%を投資しており、すべてのシステムを自社で構築することに重点を置いていると説明しました。キャッシュフローの黒字化にはさらに2年程度かかる見通しを示しています。また、株式公開(IPO)については「急ぐ必要はなく、現時点で上場する予定はない」と明言しています。
