アメリカの人事労務管理システムを手がけるスタートアップ企業「リップリング(Rippling)」は、AI関連技術を開発する新興企業「ランレイヤー(Runlayer)」に対し、自社の特許3件を侵害したとして提訴したことが明らかになりました。
この裁判は、ランレイヤーが先月、契約違反と製品アイデアの盗用でリップリングを提訴したことを受けたものです。両社の間では、リップリングが約1年間にわたってランレイヤーの製品を試験的に導入していました。しかし、価格面で合意に至らず、正式な契約には結びつきませんでした。
その代わりとして、リップリングは独自のシステムを社内で構築し、近くランレイヤーと競合する製品として提供を開始する方針です。同社はこれまでも、社内で利用している技術を製品化して市場に投入する戦略をとっているということです。
ランレイヤーは約1年前に製品の提供を開始し、これまでに4200万ドル(約65億1000万円)の資金を調達しています。同社は、AIが自律的に機能するために必要なデータシステムを接続する「MCP」と呼ばれる技術規格に、サイバーセキュリティ機能を統合した製品を提供しています。リップリングは、このソフトウェアを初期段階で試験導入した企業の1つでした。
訴訟資料によりますと、ランレイヤー側は「リップリングの従業員から、自社製品の模倣品が作られているとの警告を受けた」と主張しています。一方、リップリングの広報担当者は、該当する従業員は現在その見解を撤回しているとしています。また、リップリング側は、ランレイヤーによる提訴の直後に、特許侵害の事実を相手方に通告していたとしています。
今回の反訴について、ランレイヤー側は「自社の独自技術を盗用した事実から目をそらすための報復的な手段だ」と非難しています。これに対し、リップリング側は「知的財産権の侵害を非難しながら、自らも他社の発明を侵害している」と反論し、ランレイヤーの主張を退けています。
AI技術の進歩により、企業が自社でシステムを開発することが容易になっています。今回の対立は、新興企業と顧客企業との関係性がどのように悪化し得るかを示すものであり、技術開発における新たな課題を浮き彫りにしているということです。
