アメリカの電気自動車(EV)メーカー、ルーシッド・モーターズは、開発中の低価格帯の新型多目的スポーツ車(SUV)「コスモス」の発売を、およそ1年延期し、2027年後半にすると発表しました。新たな最高経営責任者(CEO)のもと、過去の車両で生じた品質問題の再発を防ぐための措置だとしています。
ルーシッド・モーターズは、これまで高価格帯のEV市場で一定の評価を得てきましたが、販売の拡大に苦戦しています。「コスモス」は価格を5万ドル(約775万円)未満に抑えた初のモデルとして、数か月以内の発表が予定されていました。
シルビオ・ナポリCEOは、今週行われた第2四半期の決算発表のなかで、「革新的な製品を市場に投入してきた一方で、長期間にわたり複数の課題を残してきた」と述べました。製品の準備が整う前の市場投入や、品質問題への対応の遅れなどを指摘し、抜本的な経営改革が必要だとしています。
この改革の一環として、ナポリCEOは6月1日の就任以降、経営陣を刷新しました。また、今年末までに14億ドル(約2170億円)のコスト削減を達成する方針です。これに伴い、今年前半の12%の人員削減に続き、6月には全従業員の18%を削減したほか、需要の低迷を理由にアリゾナ州の工場での生産体制を縮小したということです。
新型車「コスモス」は、より小型で製造コストを抑えた次世代の中型EVプラットフォームを採用し、販売台数の増加を牽引すると期待されていました。しかし、既存のSUV「グラビティ」などでソフトウェアや製造品質に関する問題が相次いだことから、ナポリCEOは「準備が整う前に製品を市場に出すという過去の過ちを繰り返さない」と強調し、発売の延期を決断しました。
この延期や生産台数の削減は、部品の供給網にも影響を及ぼす可能性があります。会社側は、サプライヤーとの関係悪化や価格引き上げの要求を招くおそれがあるとしています。
ルーシッド・モーターズは「2027年まで十分な資金を確保している」としていますが、今年の生産・販売見通しを下方修正したことで、水曜日の株式市場で同社の株価は15%以上急落しました。
こうしたなか、同社が配車サービス大手のウーバーや自動運転開発のニューロと共同で進めているロボタクシー事業に注目が集まっています。ウーバーは自動運転技術を搭載する「グラビティ」を1万台発注したほか、中型プラットフォームを採用したロボタクシー2万5000台を発注しており、今年末までのサービス開始を目指しています。
ウーバーのダラ・コスロシャヒCEOは、水曜日の決算発表で、ルーシッド・モーターズの再建策を「必要かつ前向きなものだ」と評価しました。さらに、ルーシッドの筆頭株主であり、ウーバーの主要な投資家でもあるサウジアラビアの政府系ファンドの支援を挙げ、「両社の提携が目標達成に向けた正しい枠組みになる」との考えを示しました。
