アメリカの電気自動車(EV)メーカー、ルーシッド・モーターズは、14億ドル(約2170億円)の経費削減やロボタクシー事業の推進などを柱とする経営再建策を発表しました。
同社は再建に向けた最優先課題として、サウジアラビア工場の稼働や中型EVの市場投入を掲げています。しかし、5万ドル(約775万円)以下での販売が予定されていた中型EVについては、当初2026年末の出荷開始を予定していましたが、翌年へと延期されるということです。
シルビオ・ナポリ最高経営責任者(CEO)は決算会見で、「すべての品質基準を満たした場合にのみ新車を発表する」と述べ、製品が未完成のまま市場に投入された過去の失敗を繰り返さない考えを強調しました。
ナポリCEOが主導する今回の再建策は、増加する在庫と過剰な支出に歯止めをかけることを目的としています。第2四半期の決算発表によりますと、14億ドル(約2170億円)の経費削減の内訳として、設備投資を5億ドル(約775億円)、営業費用を2億ドル(約310億円)削減するほか、在庫調整により6億ドルから8億ドル(約930億円から1240億円)の節減を見込んでいるということです。この計画が順調に進めば、2027年まで十分な手元資金を確保できるとしています。
ナポリCEOはこれまでの経営について、「計画の未達やサービスへの投資不足など、長きにわたり多くの面で期待を裏切ってきた」と厳しい認識を示しました。すでに経営陣の刷新を進めているほか、今年6月には全従業員の18%にあたる約1500人の人員削減を実施しています。また、アリゾナ州の工場では生産体制を縮小しており、これにより年間1億5800万ドル(約245億円)の経費削減効果が見込まれるということです。
一方で、同社の第2四半期決算は依然として厳しい状況が続いています。売上高は前年同期の2億5940万ドル(約402億円)から4億500万ドル(約628億円)に増加したものの、純損失は8億5530万ドル(約1326億円)から12億6000万ドル(約1953億円)へと拡大しました。なお、第2四半期末時点での手元資金は30億ドル(約4650億円)となっています。
収益改善の鍵として期待されているのが、配車大手ウーバーや自動運転開発のニューロと提携して進めるロボタクシー事業です。同社は新たに「ルーシッド・テクノロジーズ」と呼ばれる事業部門を設立し、AI(人工知能)や先進運転支援システムなどのデジタル技術に注力する方針です。
ロボタクシー事業では、ルーシッドのSUV「グラビティ」にニューロの自動運転技術を搭載し、ウーバーのアプリを通じて配車サービスを提供する計画です。ナポリCEOは、「従来の小売モデルを大幅に上回る利益率が見込める」としています。現在はテキサス州ヒューストンなどで100台規模の試験走行が行われており、2026年後半のサービス開始を目指しているということです。
また、ナポリCEOは、コンサルティング会社のアリックスパートナーズを起用したことで浮上した「破産を検討しているのではないか」という一部の憶測を強く否定しました。「同社の起用はコスト削減策の支援と業務効率化のみを目的としており、今月末には業務が完了する予定だ」と説明しています。
