アメリカの航空宇宙企業「ヴィーナス・エアロスペース(Venus Aerospace)」は、新型ロケットエンジンの開発を加速させるため、シリーズBの資金調達ラウンドで9000万ドル(約139億5000万円)を調達したと発表しました。
同社は2020年に設立され、当初は環境に配慮した極超音速旅客機の開発を目指していました。しかし、昨年実施したエンジンの実証実験が成功したことを受け、事業方針を転換したということです。サッシー・ダグルビー最高経営責任者(CEO)は、「実験の成功後、世界中からエンジンの購入を打診されるという予期せぬ反響があった」と説明しています。
現在は、ミサイルなどに使われる従来の固体ロケットモーターを代替する極超音速兵器の開発や、軍事用途の高速宇宙飛行体の開発に注力する方針です。アンドリュー・ダグルビー最高技術責任者(CTO)は、「当社の推進システムは、防衛や宇宙ミッションに求められる効率性や再利用性、製造のしやすさを兼ね備えている」としており、今後は技術的な進歩を実用的なシステムへと移行させることを目指すとしています。
今回調達した約139億5000万円の資金は、潜在的な顧客と連携した特定の機体設計のテストや開発に充てられるということです。資金調達はマーキュリー・ファンドが主導し、ロッキード・マーティン・ベンチャーズなども参加しました。
同社が開発する「回転デトネーション・ロケットエンジン(RDRE)」は、円形の燃焼室内で超音速の燃焼波を連続的に回転させる仕組みです。20世紀半ばに考案されたものの、物理的な制御が難しく、実用化の壁となっていました。しかし近年、3Dプリント技術やシミュレーション技術の進歩により開発が進んでいます。
これまでにアメリカ航空宇宙局(NASA)が2022年に地上で、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2021年に宇宙空間でそれぞれ実験に成功していますが、同社が実施した飛行試験は、RDREを搭載したロケットとして初めて空を飛んだ事例になったということです。
課題となっていたエンジンの耐熱問題についても、過去4年間の研究で解決のめどが立ったということです。今後はテキサス州宇宙委員会の助成金を活用して大規模な実験施設を建設する計画です。これまでの約600回の実験で達成した燃焼時間は最長で32秒ですが、顧客の要望に応えるため、これを6分から15分程度まで延長することを目指して開発を進める方針です。
