元Google Xの科学者3名が、AIを活用して「第二の脳」を提供するアプリを開発し、約9億円(5.7百万ドル)の資金を調達したと発表しました。このスタートアップ「TwinMind」は、ユーザーの許可を得た上で、バックグラウンドで音声を記録し、個人の知識グラフを構築するということです。
TwinMindは、2024年3月にダニエル・ジョージ氏(CEO)と元同僚のサニー・タン氏、マヒ・カリム氏(共にCTO)によって設立されました。このアプリは、話された考えや会議、講義、会話を構造化された記憶に変換することで、AIによるメモやタスク管理、質問への回答を生成する方針です。オフラインでも動作し、リアルタイムで音声を処理し、デバイスのバッテリーを消耗せずに16〜17時間連続で音声をキャプチャできるとしています。
TwinMindは、競合他社のAIノートアプリとは異なり、バックグラウンドで音声をパッシブにキャプチャすることを特徴としています。このため、iPhone上でネイティブに動作する低レベルのサービスを構築したとされています。ジョージ氏は、昨年の6〜7か月をこのオーディオキャプチャの最適化に費やしたと述べています。
このアプリは、ユーザーのプライバシーを重視し、録音をクラウドに送信せず、音声はリアルタイムで削除され、文字起こしされたテキストのみがアプリ内に保存されるということです。また、TwinMindは、Chrome拡張機能を提供し、ブラウザの活動を通じて追加のコンテキストを収集することが可能です。
TwinMindは、現在30,000人以上のユーザーを抱えており、そのうち約15,000人が月間アクティブユーザーです。主要な市場は米国ですが、インド、ブラジル、フィリピン、エチオピア、ケニア、ヨーロッパでも利用が拡大しているとしています。
さらに、TwinMindは新しいAI音声モデル「Ear-3」を導入し、140以上の言語をサポートすると発表しました。このモデルは、オープンソースモデルを組み合わせてチューニングされ、ポッドキャストや動画、映画などのデータでトレーニングされています。Ear-3はクラウドで動作し、インターネットが切断された際には自動的にEar-2に切り替わるよう設計されています。
TwinMindは今後、デザイナーを採用してユーザー体験を向上させ、APIの販売を目的としたビジネス開発チームを設立する計画です。また、新規ユーザーの獲得にも資金を投入する方針です。