アメリカ司法省は、元L3ハリスの幹部であるピーター・ウィリアムズ氏が、ロシアの仲介業者に監視技術を販売した罪を認めたと発表しました。ウィリアムズ氏は、アメリカの防衛請負業者であるL3ハリスから3年間にわたり国家安全保障に関連するソフトウェアを盗み出し、ロシアの業者に売却したとされています。
このソフトウェアには、少なくとも8つの重要なサイバー攻撃ツールが含まれており、アメリカ政府および選ばれた同盟国にのみ販売されるべきものでした。
ウィリアムズ氏は、L3ハリスのスパイウェアやゼロデイ脆弱性を開発する部門であるトレンチャントの元責任者です。トレンチャントは、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アメリカ、イギリスの政府顧客に監視技術を提供しており、これらの国々は「ファイブアイズ」として知られる情報同盟を形成しています。
司法省によれば、ウィリアムズ氏はワシントンD.C.に住む39歳のオーストラリア国籍の人物で、ロシアの仲介業者にゼロデイ脆弱性を売却し、暗号通貨で数百万ドル(約20億円)を受け取る契約を結んでいたということです。
ウィリアムズ氏が売却した仲介業者の名前は明らかにされていませんが、この業者はロシア政府を含む複数の顧客にサイバー攻撃ツールを販売しているとされています。
アメリカのピロ連邦検事は、ウィリアムズ氏がロシアの仲介業者に売却した行為を「次世代の国際武器商人の一部」と評しました。また、ウィリアムズ氏の行為により、トレンチャントは3,500万ドル(約54億円)の損害を被ったとしています。
ウィリアムズ氏は、2026年1月に判決を受ける予定で、現在はワシントンD.C.で自宅軟禁中ということです。
