アメリカのIT大手グーグルの元社員で投資家のメアリー・ミノ氏らは、医療とAI(人工知能)の分野で活動する新興企業を支援するため、新たな育成プログラム「Treehub」と、初期段階の企業を対象とした投資ファンド「AI Health Fund」を設立したと発表しました。アメリカで喫緊の課題となっている医療問題の解決を目指すとしています。
ミノ氏によりますと、育成プログラム「Treehub」は6か月にわたって行われます。最初の12週間で製品と市場の適合性を探り、残りの12週間で資金調達や病院へのシステム導入など、企業の方向性を定めるということです。
このプログラムを設立した背景について、ミノ氏は、自身の家族が急性白血病と診断された際の経験を挙げています。専門医を見つけることの難しさや、治療開始までの待ち時間の長さ、さらに古い技術によって治療のプロセスが遅れる現状に直面し、現状を打破する新興企業が必要だと感じたということです。
ミノ氏は、長年の友人で教育者のエスター・ウォジスキ氏に協力を求めました。エスター氏は、動画共有サービス大手ユーチューブの元CEOである故スーザン・ウォジスキ氏や、遺伝子検査会社「23andMe」の創業者アン・ウォジスキ氏の母親です。2人は、優れた研究成果を持つ学術界の研究者が、ビジネスを構築する手法を学べる仕組みが必要だと考えたということです。
また、スタンフォード大学の生医学データサイエンス部門の専門家らと連携し、投資ファンド「AI Health Fund」も立ち上げました。このファンドは、学術界から生まれた企業に対し、5万ドル(約775万円)から15万ドル(約2325万円)の初期投資を行う方針です。
ファンドの目標調達額は1000万ドル(約15億5000万円)としています。昨年実施した最初の資金調達では、家族や友人から50万ドル(約7750万円)、著名な投資家であるティム・ドレイパー氏から100万ドル(約1億5500万円)の出資を受け、合わせて150万ドル(約2億3250万円)を調達したということです。
この取り組みには、アン・ウォジスキ氏が運営パートナーとして、エスター氏が設立アドバイザーとして参画しています。また、スタンフォード大学の専門家らも運営に加わっています。
ファンドは第1期として、少なくとも60社の支援を目指しています。すでに女性のホルモン状態を記録する企業や、小児自閉症に特化した企業など、12社への投資を実施したということです。
ミノ氏は、会社が設立される前の極めて初期の段階から起業家を支援し、共同創業者のような役割を果たすことがプログラムの最大の価値だと強調しています。各企業の成長速度が異なるため、成果を発表する「デモデー」は設けない方針です。
今後は、最初のプログラムの成果を検証したうえで、将来的には支援の規模を全米に拡大していく方針だということです。
