アメリカの大学生向けSNSアプリ「Fizz」を運営する企業は、競合他社との訴訟において、ベンチャーキャピタルの投資家が投資を検討する名目で機密情報を取得し、競合他社に漏えいしたと主張する書面を提出したと発表しました。
この訴訟は、「Fizz」と競合するアプリ「Sidechat」の間で、長年にわたり不正競争をめぐって争われているものです。提出された新たな書面によりますと、「Fizz」側は、ベンチャーキャピタル「Maveron」に所属する投資家のジェリー・ルー氏が、投資の可能性を探るという名目で面会し、その後、非公開の事業情報を「Sidechat」側に共有したとしています。
スタートアップ企業は資金調達の際、投資家が競合他社に情報を漏らさないと信頼して機密情報を共有するのが一般的です。今回の疑惑は、競争が激しい市場におけるベンチャーキャピタルの倫理的な役割について、新たな課題を投げかけるものとなっています。
「Fizz」と「Sidechat」は、いずれも大学生が交流できる匿名のオンライン掲示板アプリを提供しており、学生の利用をめぐって激しい競争を繰り広げています。一方で、匿名のプラットフォーム上でのいじめや不適切な行為が問題視されており、ノースカロライナ州の一部の大学ではキャンパス内でのアプリの使用を禁止する措置をとっています。
「Fizz」は2023年、「Sidechat」が大学でのサービス開始を妨害したり、データ流出に関する虚偽のうわさを流したりしたなどとして、提訴していました。当初の訴状ではルー氏の関与は言及されていませんでしたが、その後の証拠開示手続きを通じて、同氏が機密情報を取得し、「Sidechat」の運営会社に伝達していた役割が明らかになったということです。
申し立てによりますと、ルー氏は2022年3月に「Fizz」の創業者らと面会し、事業戦略や成長計画、ユーザーのデータなどの非公開情報を得たあと、その内容を「Sidechat」側に共有したとしています。また、ルー氏はその後も、「Fizz」の資金調達の状況などを継続的に漏えいしていたと主張しています。さらに、両者の知人が「Fizz」の投資家向け資料をルー氏に共有し、それが直接「Sidechat」に渡ったとも主張しています。
ルー氏は2023年10月に「Sidechat」への投資を行っていますが、「Fizz」側は、同氏が2022年の段階から「Sidechat」と協議を行っていたとしています。
この問題について、ルー氏および所属するベンチャーキャピタルからのコメントは得られていません。また、「Fizz」側もコメントを控えています。
一方、「Sidechat」の運営会社のCEOは、メディアの取材に対し「これらは法廷で認定された事実ではなく、いかなる不正行為も否定する」とコメントしました。そのうえで、「主張されている出来事は、現在のチームが2025年に事業を買収する前のことであり、現在の運営陣は一切関与していない」としており、法的手続きを通じて対応していく方針です。
