日本のアニメ『攻殻機動隊』が30周年を迎え、その内容が現代のサイバーセキュリティの未来を予測していたと発表しました。このアニメは、1989年に発表された同名のマンガを原作としており、政府支援のハッカー「人形使い」がインターネット上で混乱を引き起こすというストーリーです。
この『人形使い』は、現在でいうところの政府支援型ハッカー、または高度な持続的脅威(APT)に相当するもので、株価操作やスパイ活動、政治的工作、テロ行為、サイバーブレインのプライバシー侵害など、さまざまな犯罪行為を行っているということです。
このようなストーリーは、1989年にインターネットが誕生した年に発表されたことを考えると、時代を先取りしていたといえます。マンガの中で、『人形使い』が捕まると、外務省の下にある公安6課の関係者が、「行動傾向やコード/技術パターンをプロファイルしていた」と説明しています。
これは、現代のサイバーセキュリティ企業がマルウェアを防ぐために行っている活動に似ているとされています。さらに、主人公の草薙素子少佐がサニテーション部門のネットワークに侵入し、ゴミ収集車を追跡するシーンも描かれており、現代の情報機関が特定のターゲットを追跡するためにネットワークに侵入する手法と類似しているといいます。
また、ゴミ収集員が妻のサイバーブレインをハッキングしたと告白するシーンもあり、これはテクノロジーを利用した家庭内暴力やストーカーウェアの一例として注目されています。実際には、このゴミ収集員には妻はおらず、記憶は全て『人形使い』によって操作されていたということです。
『攻殻機動隊』のストーリーは、現実のサイバーセキュリティの問題を予測しつつ、より幻想的な方向に展開しています。特に、ハッカーが高度な人工知能であり、人間のサイバーブレインをコントロールできるという設定は、現代の技術的な進歩を予見していたといえるでしょう。
1989年から1995年にかけて、サイバーセキュリティという言葉はまだ一般的ではありませんでしたが、コンピュータセキュリティや情報セキュリティはすでに存在していました。『攻殻機動隊』の創作者である士郎正宗氏が、どのような実際の出来事からインスピレーションを受けたのかは明らかにされていませんが、当時の隠れた世界に注目していたことは間違いありません。
