暗号資産取引所大手のOKXは、AI=人工知能のエージェント同士がサービスを発注し合い、自律的に決済を行うための新たな市場「OKX AI」の提供を開始したと発表しました。
この市場は、50のAIサービス提供事業者が参加した試験運用を経て、開発者向けに公開されました。AIエージェントがデジタル財布を保有し、価格が安定した暗号資産であるステーブルコインを使って支払いを行い、独自の識別情報を確立する技術を基盤としています。
OKXは現在、世界で1億5000万人以上の利用者を抱えていますが、暗号資産の取引にとどまらず、総合的な金融IT企業への事業拡大を目指す方針です。次世代の顧客は人間や企業だけでなく、自律的に取引を行うAIエージェントになると予測しており、新たな「エージェント経済」の形成を見込んでいます。
同社のスター・シュー最高経営責任者(CEO)は、「これからの10年は、個人がAIを活用することで年間100万ドル(約1億5500万円)以上の収益を上げる時代になります。従来の金融インフラは人間向けに作られており、自律型ソフトウェアに特化したインフラが必要不可欠です」としています。
また、ハイダー・ラフィーク最高マーケティング責任者(CMO)は、少額決済と自律型ソフトウェアの普及により、この分野が今後5年間で1兆ドル(約155兆円)規模の市場に成長する可能性があるという見方を示しました。
新たな市場は、AIを活用したアプリケーションを開発する技術者や、業務の自動化を図る起業家を対象としています。ブロックチェーン技術とステーブルコインを活用することで、従来の決済システムでは困難だった少額の支払いを含め、24時間体制での取引処理が可能になるということです。
初期の提携企業には、取引前に暗号資産の安全性を評価する企業や、紛争解決の仕組みを提供する企業などが名を連ねています。紛争解決インフラを提供するジェンレイヤーのアルバート・カステラナCEOは、「最大の課題はAI同士の発見とトラブル解決であり、我々はデジタルの裁判システムを構築しています」と述べています。
OKXは今年3月、ニューヨーク証券取引所の親会社であるインターコンチネンタル取引所から、企業価値を250億ドル(約3兆8750億円)と評価された上で、約2億ドル(約310億円)の出資を受けました。同社は、資産のデジタル化を通じた「市場の近代化」と並行して、自律型ソフトウェア時代に向けた「お金の近代化」を推進する方針です。
一方、OKXは2024年に規制要件への対応を理由に、インドでの暗号資産取引サービスを停止しました。しかし、インドはAIやブロックチェーン開発者の世界的な拠点となっていることから、同社にとって引き続き最優先の市場だとしています。規制のハードルが比較的低い開発者向け製品を通じて、インドの開発者コミュニティとの関係を早期に再構築したい考えです。
