ヨーロッパの起業家やベンチャーキャピタルなどのグループは、EU=ヨーロッパ連合の域内で共通して適用される新たな会社法制度について、実効性のある法案の成立を求める公開書簡を発表しました。
現在、アメリカのデラウェア州の会社法に相当するような、EU全域で統一された法人制度の創設に向けた動きが進んでいます。この制度は、企業が共通の枠組みで法人設立を行い、EU域内でスムーズに事業を展開できるようにするものです。推進派はすでにEUの主要機関から支持を得ていますが、最終的な法案において「制度の核となる機能が弱められれば、実質的に機能しなくなる」として懸念を示しています。
ヨーロッパの法案策定では通常、各国の利益団体による働きかけが行われます。今回もドイツの公証人協会などが、ヨーロッパ委員会の提案の一部を批判しているということです。現在、ヨーロッパ議会と閣僚理事会で最終的な条文案に向けた交渉が続いています。
EUの各機関が冬期の休会に入るまで残りおよそ100日となる中、公開書簡は政策立案者に対し、現在の提案を維持するよう求めています。「ヨーロッパの企業を苦しめている摩擦や制度の分断を取り除き、投資を呼び込み、新たな起業の波を起こす可能性がある」としています。
さらに書簡では、制度が実際に活用されるために不可欠な詳細条件についても言及しています。具体的には、法人登記を単一の中央登録システムで行うことや、従業員のストックオプションに対する課税を、実際に株式を売却した時点のみに限定することなどを強く求めています。投資会社インデックス・ベンチャーズのパートナーで、この制度を支持するマーティン・ミニョ氏は2024年に、「細部にこそ問題が潜んでおり、我々は非常に注意深く見守っていく」と述べていました。
今回の書簡には、アクセルやセコイア・キャピタル、アトミコなどの著名なベンチャーキャピタルの幹部が署名しています。また、ミストラルやシンセシアなど、評価額が10億ドル(約1550億円)を超える未上場企業、いわゆる「ユニコーン企業」の創業者らも支持を表明しています。
これらの企業の中には、現在アメリカに本社を置く企業も含まれています。推進派としては、実効性のある統一制度が実現すれば、ヨーロッパのスタートアップ企業がアメリカに本社を移す必要がなくなるという方針を政策立案者に示す狙いがあるということです。
