ヨーロッパを拠点とするベンチャーキャピタル「コンパスVC」は、政治や文化などで分断化が進む世界市場に対応するため、新たに1億6000万ユーロ(約264億円)の投資ファンドを設立したと発表しました。
同社は、現在の世界経済がアメリカ、ヨーロッパ、中国の3つの主要な経済圏に分断され、それぞれが全く異なる発展の軌道をたどっていると分析しています。この新たなファンドを通じて、各地域の実情に合わせた投資戦略を展開する方針です。
投資の対象としては、製造業やサプライチェーン、重要インフラ、そして脱炭素化などの持続可能性(サステナビリティ)といった、物理的な産業基盤の課題解決に取り組むスタートアップ企業に焦点を当てるとしています。同社のセバスチャン・ペック氏は、「現在はAI(人工知能)の急速な成長に注目が集まっていますが、私たちは物理的な世界における課題解決に特化していく」と述べています。
今回設立された第2号ファンドでは、創業初期段階の企業に対し、1社あたり300万ユーロから500万ユーロ(約5億円から約8億円)の出資を行う計画だということです。近年、多くの国で製造業の国内回帰がトレンドとなっており、同社のような特化型の投資ファンドにとって十分な市場規模が見込めるとしています。
一方で、市場の分断化が投資リターンに与える影響も課題となっています。例えば、北欧で広く普及している組み立て式住宅は、技術的な問題ではなく文化的な背景の違いから、ドイツやアメリカでは普及が進んでいないということです。ペック氏は、「アメリカ市場に進出できない産業においては、対象となる市場規模が十分にあるか慎重に見極める必要がある」と指摘しています。
また、環境問題への取り組みについても、ヨーロッパでは依然として関心が高いものの、アメリカでは数年前と比較して関心が薄れているということです。同社は10年から15年という長期的な視点で投資を行っており、政権交代や法改正による予期せぬ変化にも対応していくとしています。
ペック氏は、「私たちのような専門性の高い小規模なファンドが、特定のテーマや起業家を支援する最初の投資家として、重要な役割を担っている」と強調しました。
