アメリカのIT大手マイクロソフトは、全世界の従業員の約2.1%にあたるおよそ4800人を削減したと発表しました。アメリカのIT業界では、記録的な収益を上げる一方で、AI=人工知能への投資や業務の自動化を理由に大規模な人員削減に踏み切る動きが相次いでいます。
IT業界では、AIを成長の原動力と位置づける一方で、人員削減の理由としても挙げる企業が増加しています。雇用調査会社によりますと、2026年5月のIT業界の人員削減数は過去数年間で単月として最多となり、その最大の理由としてAIが挙げられているということです。また、業界の動向を追跡する調査サイトによりますと、2026年に入ってからすでに約12万人のIT関連職が削減されたとしています。
新型コロナウイルスの感染拡大期に急増した人員を見直す動きも背景にあるとみられますが、各社はAIへの事業転換を明確に打ち出しています。今年、AIを理由に大規模な人員削減を発表した主な企業の動向は以下の通りです。
オラクルは6月下旬、過去12か月間で従業員の13%にあたる2万1000人を削減したと明らかにしました。同社は年次報告書の中で、「業務全般へのAI技術の導入が人員削減につながっており、今後も続く可能性がある」としています。3月には四半期純利益が前年同期比27%増の37億ドル(約5735億円)に達したと発表していましたが、削減による資金をAIデータセンターに振り向ける方針です。また、ギットラブは6月、AIインフラへの投資を目的として従業員の約14%にあたるおよそ350人を削減したと発表しました。同社の第1四半期の収益は2億6400万ドル(約409億円)でしたが、事業の再構築に向けて最大3500万ドル(約54億円)の費用を見込んでいるということです。
グーグルは5月にかけて、クラウド部門などで人員削減を進めました。クラウド事業の収益は63%増の200億ドル(約3兆1000億円)を超えましたが、外部の推計によりますと、今年に入り1500人から3000人以上のエンジニアが削減されたとみられています。メタは従業員の約10%にあたるおよそ8000人を削減する一方、約7000人をAI関連の新たな職務に配置転換しました。
このほか5月には、インテュイットがAIへのリソース再配分を理由に約3000人の削減を発表したほか、シスコシステムズもAIやセキュリティー分野への事業再編に向けて約4000人の削減を明らかにしました。クラウドフレアは約1100人を削減し、ゼネラル・モーターズもIT部門を中心に500人から600人を削減しました。暗号資産交換業のコインベースは約700人を削減し、ペイパルは今後2年から3年で約4500人以上を削減してAI導入による組織の簡素化を進める方針です。
4月には、スナップがAIの進歩による業務効率化を理由に約1000人を削減しました。マイクロソフトも希望退職の募集を通じた人員削減を実施し、AI投資が拡大する中で組織の俊敏性を高めるとしています。また、IBMは今年を通じて人員削減を進めており、累計の削減数は1万5000人を超えたと推計されています。同社はAI関連の採用を増やす一方で、人事部門の一部をAIに置き換えたということです。
3月には、アトラシアンがAI分野への再配置を目的に約1600人を削減しました。デルは前年からの1年間で約1万1000人を削減し、退職金などに5億6900万ドル(約882億円)を計上したことを明らかにしました。
2月には、ブロックが従業員の半数近くにあたる4000人を削減し、セールスフォースもAIによるサポート業務の効率化を背景に人員削減を実施しました。さらに1月には、アマゾンが1万6000人の削減を発表しました。同社はAIの広範な活用による業務効率化に伴い、今後数年間で全社的な人員が減少するとの見通しを示しています。
