アメリカのAI(人工知能)開発企業、アンスロピック(Anthropic)のダリオ・アモデイCEOは、AIに対する社会的な反発について、企業やテクノロジー業界に対する「根本的な信頼の危機」が原因であるとの見解を明らかにしました。
これは、投資家のギャビン・ベーカー氏による批判に答えたものです。ベーカー氏は、アモデイCEOがAIの危険性に警鐘を鳴らしてきたことが、アメリカ国内でのデータセンター建設などに対する反発を助長したと指摘していました。さらに、アモデイCEOに対し、業界をより肯定的にアピールするよう求めていました。
これに対し、アモデイCEOは自身の発信が過度に悲観的であるという指摘を否定しました。リスクとメリットの双方を均衡に伝えてきたとしたうえで、AIが世界をより良く変える可能性を示すために、肯定的なビジョンを描いた論文も発表していると説明しています。
一方で、一般の人々がAIに対して否定的な見方を持っていることは「大きな問題だ」と認めました。しかし、その原因はAI開発者の警告ではなく、社会全体に広がる「根本的な信頼の危機」にあると指摘しました。人々は企業や政府、テクノロジー業界に対して不信感を抱いているということです。
また、アンスロピックを含むAI企業に対する最も的確な批判は、「世界に利益をもたらすという大きな約束をまだ果たしていないことだ」と述べました。この点については自社の責任であると認め、改善に向けて最大限の努力をしているとしています。
さらに、AIの規制に関する議論についても見解を示しました。シリコンバレーでは「規制は一部の企業への権力集中を招く」という見方が一般的ですが、アモデイCEOはこれを過度に単純化された考え方だと指摘しました。そのうえで、アンスロピックとしては、最先端の巨大AI企業に対する規制を強める一方で、小規模な競合他社に有利に働くような政策を慎重に提案していく方針です。
