アメリカの配車サービス大手「ウーバー」の創業者であるトラビス・カラニック氏は、自身が率いるロボット工学の新会社「アトムズ」が、約17億ドル(約2635億円)の資金調達を実施したと発表しました。また、同氏は最近出演したポッドキャスト番組内で、ベンチャーキャピタル(VC)の大部分は起業家にとって有益ではないとする見解を明らかにしたということです。
カラニック氏はウーバーのCEO在任中、当時としては異例となる約150億ドル(約2兆3250億円)の資金を調達しました。しかし、2017年に主要投資家であるベンチャーキャピタル「ベンチマーク」のビル・ガーリー氏らとの経営権を巡る対立の末、事実上の辞任に追い込まれた経緯があります。
現在、同氏は新会社アトムズの経営に注力しています。今回の資金調達は、大手ベンチャーキャピタルの「アンドリーセン・ホロウィッツ」が主導したということです。これに伴い、同社のベン・ホロウィッツ氏がアトムズの取締役に就任する方針です。
カラニック氏は先週末に配信された番組で、過去の経営対立に対する不満が現在も残っていることを示唆しました。その上で、起業家に対して特定の投資会社からの資金調達を避けるよう助言しているということです。なお、同氏が批判の対象とした投資会社は今年6月に約20億ドル(約3100億円)の新たなファンドを設立しており、事業への深刻な影響は見られていないということです。
同氏は自身の経験を踏まえ、「害を及ぼさない」という最低限の基準を満たすVCは全体のわずか10%にすぎないと指摘しています。さらに、実際に起業家の「役に立つ」VCは全体の「1%」にとどまるとしています。同氏は起業家を企業の「チェスの達人」に、VCをたまに進行状況を確認しに来る「チェスの愛好家」に例え、投資家が事業の深い部分まで関与することは構造的に困難であると述べています。
一方で、VCからの資金調達そのものを否定しているわけではないということです。カラニック氏は、複数の投資会社間で競争を起こし、より有利な条件を引き出す戦略を推奨しています。特に、変化の激しいAI(人工知能)分野においては、詳細すぎる事業計画は非現実的であると受け取られるため、適度な粒度の計画を提示することが資金調達の鍵になるとしています。
また、過去の経営対立については、「被害者意識」に陥ることを最も警戒すべきだと語っています。当時の自身の経営手法にも問題があったと振り返り、約700億ドル(約10兆8500億円)の企業価値を持つ企業を、常に資金繰りに苦しんでいた過去のスタートアップ企業と同じような「切羽詰まった手法」で経営していたことが、周囲との摩擦を生んだと分析しています。
カラニック氏の発言を契機に、他の連続起業家からも過去のVCとの対立に関する声がSNS上で上がっているということです。今回アトムズへの投資を主導したアンドリーセン・ホロウィッツは、この番組の告知を積極的に行っています。同社の共同創業者であるマーク・アンドリーセン氏と、かつてカラニック氏と対立したビル・ガーリー氏の間には、以前から公の場での摩擦があったとされています。なお、ガーリー氏からのコメントは現時点で得られていないということです。
