イーロン・マスク氏が率いるSNS大手のX(旧ツイッター)とAI開発企業のスペースXAI(旧xAI)は、IT大手アップルとAI開発大手オープンAIを相手取って起こしていた独占禁止法違反をめぐる訴訟について、アップルに対する訴えを自主的に取り下げる申し立てを行ったと発表しました。
この訴訟は昨年、マスク氏が「アップルとオープンAIが結託し、競合するAIアプリがアプリ配信サービスで目立たないようにしている」と非難したことに端を発しています。その後、XとスペースXAIは両社を提訴し、アップルが自社の音声アシスタントや独自のAI機能にオープンAIの対話型AI「チャットGPT」を統合する契約を結んだことで、オープンAI側に不当な優位性を与えていると主張していました。これに対し、アップルとオープンAIはすべての主張を否定していました。
訴訟はその後、証拠開示の手続きに進み、内部文書や通信記録の提出をめぐって双方で争いが続いていました。数か月前には、マスク氏がテスラやスペースXのアカウントをスペースXAIの業務に使用していたとするオープンAI側の主張を受け、連邦裁判所の裁判官がマスク氏に対し、関連する電子メールを提出するよう命じていました。
今回の裁判所への提出資料によりますと、原告であるXとスペースXAIは、アップルに対する訴えを「再訴不可」の条件で取り下げるとしています。これは、将来的に同じ内容でアップルを再び提訴する意図がないことを示しています。アップル側はこの申し立てに反対していないということです。ただし、この取り下げは担当裁判官の承認を得るまでは正式な決定ではないとしています。
一方で、原告側はオープンAIに対する訴えを引き続き維持する方針です。オープンAIをめぐっては、マスク氏が今年初め、同社やサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)らを相手取り、「設立当初の非営利目的を放棄し、幹部が不当に利益を得ている」として別の訴訟を起こしていました。この訴訟については今年5月、陪審員が「提訴の時期が遅すぎる」としてマスク氏の主張を退けています。今回のオープンAIに対する訴訟は、事実上その動きを引き継ぐものとみられています。
