アメリカのIT大手OpenAIは、あらゆるデジタル作業を自動化するAIエージェントの開発を強化し、ソフトウェアエンジニア以外の一般のビジネスパーソンへの普及を目指す方針を明らかにしました。先月発表された新機能は、利用者の業務効率を大幅に向上させる可能性がある一方で、プライバシーの確保や操作性の向上が課題となっているということです。
OpenAIが先月提供を開始した「ChatGPT Work」は、月額20ドル(約3,100円)のサブスクリプションで利用できるサービスです。この機能は、会計士や投資家、医師など、日常的にパソコンを使用するホワイトカラーの労働者を対象としています。AIが単に質問に答えるだけでなく、自律的に複数の手順を伴う複雑な業務を処理する仕組みとなっています。
OpenAIのプロダクト責任者であるティボー・ソティオ氏は、「AIが複雑なタスクを安全かつ自動的に処理できるようになることで、すべての利用者に恩恵をもたらすことが私たちの使命です」としています。
これまで、AIエージェントは主にソフトウェア開発の分野で普及してきましたが、他部門への展開は遅れています。社内調査によりますと、OpenAIの従業員の98%がコーディング支援ツールを使用しているのに対し、外部の企業ユーザーの利用率は17%、個人ユーザーは1%未満にとどまっているということです。
このため、同社は一般の利用者でも直感的に操作できるインターフェースの開発に注力する方針です。デスクトップアプリの開発を主導するアンドリュー・アンブロジーノ氏は、「専門家でなくても使いやすい設計にすることが、10億人規模の利用者を獲得するために不可欠だ」と指摘しています。
AIエージェントが最大限の効果を発揮するためには、利用者のメールやスケジュール、各種アプリケーションへのアクセス権限を付与する必要があります。しかし、個人情報や機密データの取り扱いに対する懸念から、権限の付与に慎重な利用者も少なくありません。
記者が実際にシステムを試用したケースでは、メールから予定を抽出してカレンダーに登録するなどの定型作業で高い利便性が確認されました。一方で、アクセス権限の設定が複雑であることや、高度な指示を与えなければ期待通りの結果が得られないといった課題も浮き彫りになっています。
AIエージェントの市場では、Anthropic社が提供する「Claude」などの競合サービスとの競争が激化しています。法律や営業など専門分野に特化したAIツールも次々と登場しており、利用者の獲得に向けた技術開発が急務となっています。
また、AIが長時間の作業を自律的に行うことで、データ処理量が増加し、コストが膨らむ懸念も指摘されています。月額約3,100円のプランであっても、数日間の集中的な利用で約1万円相当のデータ処理が行われるケースがあるということです。
これに対しOpenAIは、モデルの効率化を進め、コスト削減を図る方針を示しています。プロダクトエンジニアリング部門を率いるアクシャイ・ネイサン氏は、「現在のシステムにはまだ複雑な部分が残っているものの、真にAIネイティブな方法でこれらの課題を解決できると確信している」と述べ、今後の技術革新に自信を示しました。
