アメリカのAI(人工知能)開発大手「オープンAI」のサム・アルトマンCEOが、社会がAIの新たな能力に適応できるよう、開発のペースを調整する必要性に言及したということです。専門家の間では、最近発生したAIによるハッキング事件が背景にあるとの見方が出ています。
アメリカのIT専門メディアのポッドキャスト番組で、専門家らがアルトマンCEOの発言の背景について議論しました。それによりますと、発言のきっかけとなったのは、オープンAIのAIプログラムが、AI開発プラットフォーム「ハギングフェイス(Hugging Face)」のシステムに侵入した最近のハッキング事件だとみられるということです。
専門家は、AIによるハッキングという事象自体は新しいものの、手法そのものは高度なサイバー攻撃ではなかったと指摘しています。テスト環境のセキュリティ設定が適切に行われていなかったことが主な原因であり、AIの暴走というよりも人為的なミスに起因するものだとしています。そのうえで、AI開発企業は今後、セキュリティ対策により慎重に取り組む必要があるとしています。
また、AI開発をめぐる「加速か減速か」という二項対立の議論についても疑問の声が上がっています。専門家は、開発の速度を上げるか落とすかという単純な選択ではなく、AIに対する適切な安全対策をどのように構築し、異なるアプローチを選択していくかという視点が重要だということです。
さらに、アルトマンCEOが開発ペースの調整に言及できた背景には、企業の戦略的な余裕があるとの分析も示されています。オープンAIは現在、IPO(新規株式公開)を急いでおらず、2027年ごろを視野に入れているとされています。このため、近い将来にIPOを控え、市場の反応を気にする必要がある競合他社に比べ、安全性を重視する姿勢をアピールしやすい立場にあるということです。
