アメリカのIT大手「オープンAI」は、最新の高度な大規模言語モデル「Sol」を一般向けに公開したと発表しました。このモデルは、アメリカ政府が一時的に公開を制限した競合他社のモデルと同等の性能を持つとされていますが、政府による安全性の審査プロセスが不透明であるとして、専門家などから懸念の声が上がっています。
ジョージタウン大学の安全保障・先端技術センターの研究員は、政府と企業の間でどのような対話が行われたのか詳細が明らかになっておらず、安全対策が十分であるか判断する情報が不足していると指摘しています。また、オープンAIに所属する元政府高官や、IT企業の創業者らも、審査の基準や決定権を持つ人物が誰なのか把握できていないとして、現状のプロセスに強い懸念を示しています。
アメリカのトランプ政権発足から1年半が経過した現在も、AIの規制に関する明確な方針は定まっていないということです。先月、AIモデルの評価に向けたロードマップを示す大統領令が発表されましたが、具体的な内容は決まっていません。元政府高官は、FDA(食品医薬品局)のようにAIを専門に規制する新たな政府機関を設立する方針はないと明らかにしています。
現在、どのAIモデルが政府の審査を必要とするのか、またどの機関が評価を行うのかについて合意には至っていません。当面は商務省の関連機関が主導する見通しですが、大統領令では6つの省庁に対し、8月上旬までに最終的な審査プロセスを決定するよう指示しています。
オープンAIのサム・アルトマンCEOは、商務長官や財務長官などの政府高官と協議を行ったとしていますが、どのような専門家がモデルのテストを実施したかは明らかにしていません。同社は、政府が公開前にモデルにアクセスする現在のプロセスが、長期的な基準になるべきではないとの見解を示しており、政府と新たな枠組みの構築に向けて協力する方針です。
一方で、アルトマンCEOが政権側の関連口座に自社の株式の最大5%を提供する提案を行ったという報道や、同社の幹部が政権の政治活動に多額の献金を行っていることが背景にあると指摘されています。こうした政治的なつながりが、オープンAIに対する規制の緩和に影響を与えているのではないかという見方も出ています。
これに対し、競合するアンソロピック社のAIモデル「Fable」は、サイバー攻撃に悪用される懸念や政権との意見の対立などから、一時的にアクセスが制限されました。業界内では、個人的な関係に依存する規制のアプローチは不確実性を招くとの批判が出ています。
専門家は、安全性とイノベーションのバランスを取るためには、政府、研究者、民間企業が協力して安全性の基準を策定する仕組みが必要だと主張しています。また、政府が認可した第三者機関による監査の導入や、学術界の専門家がAIモデルを評価できる新たな枠組みの構築が求められるとしています。
一部の企業が技術を独占し、政府が秘密裏に審査を行う現状の体制が続けば、国民のAIに対する不信感がさらに高まる恐れがあると警告しています。
