米国のスタートアップ企業「Omen AI(オーメン・エーアイ)」は、データセンターの冷却液をリアルタイムで監視する技術の開発を強化するため、シリーズAラウンドで3100万ドル(約48億円)の資金調達を実施したと発表しました。
AI(人工知能)の普及に伴い、データセンターでは計算処理能力の向上が求められています。これに伴い、熱を持った半導体を冷やすための「液冷システム」の重要性が増しています。冷却効率を高めるために冷却液の水分量を増やすと、バクテリアが繁殖しやすくなり、配管の詰まりなどの問題が発生するということです。システムを洗浄するためには数時間の稼働停止が必要となり、多額の経済的損失につながるおそれがあります。
Omen AIは、この課題を解決するため、小型の分光計を用いて冷却液の状態をリアルタイムで監視する技術を開発しました。ザック・ラバージCEO(最高経営責任者)は、「化学的な変化を可視化することで、大規模な稼働停止のリスクを回避できる」としています。バクテリアの繁殖だけでなく、銅やクロム、シリコンなどの微粒子を検知することで、ポンプなど設備の摩耗も早期に発見できるということです。
今回の資金調達は、ベンチャーキャピタルのNava Venturesが主導し、複数の投資会社や大手企業の幹部などが参加しました。同社が2024年に設立されて以来、調達した資金の総額は4000万ドル(約62億円)に上るということです。
ラバージCEOは、14歳だった2020年に建設機械向けのセンサー開発会社を起業し、300万ドル(約4億6500万円)を調達した経歴を持っています。その後、2024年にOmen AIを設立しました。当初は建設機械の流体システムを監視する事業を展開していましたが、顧客からの要望を受け、約半年前にデータセンター向けに事業の軸足を移したということです。
現在、AI向けのクラウドサービスを展開するTensorWaveなど、約12社のデータセンター関連企業と提携し、サービスの構築を進める方針です。
冷却液の監視をめぐっては、水質監視技術を手がけるPyxis社も今月、データセンター向けの製品を発表するなど、市場の関心が高まっています。Omen AIは、近年の光学技術の低価格化と信号処理ソフトウェアの向上を背景に、さらなる事業拡大を目指すとしています。
