アメリカの連邦控訴裁判所は、トランプ政権が気候変動対策に取り組む非営利団体に対してすでに支給した資金を打ち切り、回収しようとした措置について、政府にその権限はないとの判決を言い渡しました。
2025年2月、アメリカ環境保護局(EPA)のリー・ゼルディン長官は、連邦捜査局(FBI)や財務省とともに、金融機関に対して8つの非営利団体の銀行口座を凍結するよう命じました。これを受け、団体側は口座に振り込まれた数十億ドル(数千億円規模)の資金へのアクセス回復を求めていました。
今回の判決により、EPAが連邦最高裁判所への上訴を検討する間、団体側は資金を利用できるようになります。一方で、口座が凍結されていた期間中に、多くの団体が大幅な事業縮小を余儀なくされたということです。
首都ワシントンにある連邦巡回区控訴裁判所の判事10人のうち6人が支持した今回の判決は、EPAがすでに非営利団体の口座に振り込まれた資金を回収することを禁じる命令を維持するものです。
判事らは、EPAが「単なる政策上の意見の相違」を理由に資金を回収しようとしたと指摘しています。この措置は、クリーンエネルギー開発を促進するための200億ドル(約3兆1000億円)規模のプログラム「温室効果ガス削減基金」を創設したインフレ抑制法(IRA)に基づく資金の提供を、不当に阻むものだということです。
この資金の多くは、企業や地域社会が化石燃料から脱却するための融資制度の構築に充てられる予定でした。こうした融資の延滞率は、民間金融機関の融資と同水準だとしています。
トランプ政権のEPAは、新たに成立した法案(One Big Beautiful Bill Act)によってインフレ抑制法の一部が廃止されたため、資金を回収する権限があると主張していました。
しかし、賛成に回った判事らは、資金はすでに非営利団体の口座に振り込まれ、支払い義務が確定していたため、新法を根拠に回収することはできないと結論づけました。政府がすでに支給した資金を取り戻すために、新しい法律を適用することはできないとしています。
非営利団体はこの判決を歓迎していますが、一部の団体にとっては手遅れとなる可能性も指摘されています。
ニューヨーク・タイムズの報道によりますと、「クライメート・ユナイテッド」のCEOが3月に辞任した後も後任が決まっていないほか、「パワー・フォーワード・コミュニティーズ」では従業員が2名にまで減少するなど、他の団体でもレイオフ(一時解雇)が行われたということです。
EPAは、7日以内に連邦最高裁判所に上訴するかどうかを決定する方針です。
