ネットワークの自動化技術を開発する米国の新興企業「Netris」は、AI(人工知能)向けのデータセンター事業を展開する企業を支援するため、大手ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツなどからシリーズAラウンドで1500万ドル(約23億2500万円)の資金調達を行ったと発表しました。
AIの急速な普及に伴い、データセンター事業に参入する企業が相次いでいます。しかし、GPU(画像処理半導体)やネットワーク機器などを確保したとしても、顧客の需要に合わせてシステムを設定し、クラウドサービスとして稼働させるまでには数か月の期間を要することが課題となっています。稼働までの期間が長引くほど、高価なGPUを遊休させることになり、多額のコストが発生するということです。
Netrisは、こうした課題を解決するソフトウェアとプラットフォームを提供しています。同社のシステムを導入することで、ネットワーク機器の初期設定や運用が自動化され、新興のデータセンター企業がサービスを開始するまでの期間を大幅に短縮できるとしています。また、ハードウェアの構成を必要に応じて柔軟に変更できるほか、複数の顧客が安全にシステムを共有できる機能も備えているということです。
これまで、データセンターのネットワーク構築や自動化は、豊富な資金と技術者を持つ大手IT企業に限られていました。Netrisのアレックス・サロヤンCEOは、「AI向けの膨大なデータ通信を処理するには、従来のソフトウェアによる制御ではなく、ハードウェアによる処理の高速化が不可欠です。当社の技術はこれを実現するものです」と述べています。同社のプラットフォームは特定のメーカーに依存せず、NVIDIA(エヌビディア)やAMDなどのサーバー機器に幅広く対応しているということです。
同社の技術は市場で高く評価されており、2年前には半導体大手のNVIDIAが顧客に導入を推奨したということです。現在、世界中で35か所以上のGPUクラスター(合計約100万基のGPU)で稼働しており、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)やフォックスコンなどの企業に利用されています。
注目される点として、Netrisのシステム自体にはAI技術は使用されていません。サロヤンCEOは、「AIは時に独自の動作をするため創造的な作業には適していますが、数千ものネットワーク機器の設定を変更する作業には、創造性ではなく、正確で再現性のあるアルゴリズムが必要です」と説明しています。
今回の資金調達に伴い、アンドリーセン・ホロウィッツのパートナーであるグイド・アッペンツェラー氏がNetrisの取締役に就任する予定です。同社は今後、調達した資金を活用して技術者や営業担当者の採用を強化し、対応するハードウェアの拡充やシステムの機能向上を進める方針です。
