アメリカの原子力スタートアップ企業「ブルーコア・エナジー」は、創業からわずか数か月で、シードラウンドとして5000万ドル(約77億5000万円)の資金調達を実施したと発表しました。
同社は今年、コフィ・アサンテ氏によって設立されました。固定された場所ではなく、海上に浮かぶ台船(バージ)に小型モジュール炉(SMR)を建設し、港湾や周辺のインフラ向けにクリーンエネルギーを供給する技術を開発しています。これにより、エネルギーを必要とされる場所に迅速に輸送することが可能になるということです。
アサンテ氏はインタビューに対し、「アメリカ海軍は過去70年間にわたり同様の技術を運用し、無事故を維持しています。私たちはこの技術を小型化し、新たなインフラを何年もかけて建設するのではなく、数日で移動できるようにしました」と述べています。
同社は当初、年内の追加調達を予定していませんでしたが、プレシードラウンドで1000万ドル(約15億5000万円)を調達した直後から投資家からの問い合わせが相次いだということです。今回のラウンドは投資会社のシルバートン・パートナーズが主導し、テスラやウーバー、アマゾン、グーグルなどの関係者もエンジェル投資家として参加しました。
ブルーコア・エナジーは今年7月に事業を本格化させて以降、カリフォルニア州のロングビーチ港に本社を構える初の原子力企業となりました。これまでに2隻の台船を進水させており、現在はアメリカ原子力規制委員会(NRC)や沿岸警備隊による製品設計の審査を受けています。審査を通過すれば、浮体式原子力発電所としての正式な認証を得る見通しです。
今回調達した資金は、製品開発や規制対応、核燃料の購入、および人材採用に充てる方針です。アサンテ氏は、需要の増加に対応するためのサプライチェーンの構築が最大の課題だとしたうえで、「複数の港湾やAIデータセンター、クリーンエネルギーを必要とする地域から強い関心が寄せられている」としています。
同社にはスペースXやトヨタ自動車などの出身者が在籍しており、各業界のノウハウを生かして重要な部品の調達を進める方針です。アサンテ氏は、「クリーンエネルギーと安全な水へのアクセスは基本的人権であるべきだ」と述べ、エネルギー供給の民主化を目指す姿勢を強調しています。
