アメリカのエネルギー関連のスタートアップ企業「ベース・パワー(Base Power)」は、電力需要が急増する地域において、家庭用大型蓄電池を活用した電力供給サービスを開始したと発表しました。
アメリカのメディアの報道によりますと、ベース・パワーはイリノイ州の住民向けに家庭用大型蓄電池システムの提供を始めました。これは、アメリカ最大の送電網運用機関である「PJMインターコネクション」の管轄地域への初の進出となります。PJMの管轄地域には、データセンターが密集するバージニア州北部なども含まれており、電力需要の急増への対応が課題となっています。
PJMの管轄地域では、新たな発電施設の不足も重なり、卸売電力価格が過去1年間でほぼ倍増しました。電力不足は深刻化しており、地域の大手電力会社が市場からの撤退を示唆する事態となっています。
ベース・パワーは2年前にテキサス州で設立され、家庭用蓄電池を活用した「仮想発電所(VPP)」の構築を進める方針です。同社が提供する蓄電池は容量が25キロワット時(kWh)からと、競合他社に比べて大型であることが特徴です。顧客には蓄電池を直接販売するのではなく、同社から電力を購入する仕組みを導入しており、イリノイ州では地元の電力会社より25%安い料金を設定しているということです。
同社は現在、テキサス州で500メガワット時(MWh)以上の蓄電池を運用しています。電力価格が安い時間帯に充電し、送電網の需要が最も高まる時間帯に電力を供給する戦略をとっています。
一方、PJMは2022年から新規発電施設の接続申請を一時停止し、ことし4月に再開したばかりで、過去4年間の電力需要の急増に対する対応の遅れが指摘されています。
ベース・パワーの事業展開は、10月に投資会社が主導した10億ドル(約1550億円)の資金調達を発表して以降、加速しています。これに先立ち、有力ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)などが主導した2億ドル(約310億円)の資金調達も行われています。
これまでPJMは、分散型のエネルギー貯蔵システムなどの新技術の導入に時間がかかっていました。しかし、ベース・パワーのザック・デル最高経営責任者(CEO)は、「すでに送電網との接続が完了している一般家庭に蓄電池を設置するため、新たな接続の順番待ちをする必要がない」と述べ、既存の送電網の課題を回避できるとしています。
