オランダのディスプレー製造技術企業「モルフォトニクス(Morphotonics)」は、AR(拡張現実)グラス向けの製造体制の強化や、データセンター向けの新たな光部品市場への参入に向け、4000万ユーロ(約66億円)の資金調達を実施したと発表しました。
半導体露光装置の分野ではオランダのASMLが最大手として知られていますが、同じオランダを拠点とするモルフォトニクスは、「ナノインプリント・リソグラフィ(NIL)」と呼ばれる微細加工技術に特化しています。同社は、ASMLと同じサプライチェーンを活用しながら、12年にわたり技術開発を進めてきました。
この技術は、スタンプのような型を用いて感光性材料にパターンを転写するものです。ARグラスや自動車用のプライバシーガラスなどの製造に用いられるということです。
現在、特に需要が急増しているのが、スマートグラス向けの「ウェーブガイド(光導波路)」と呼ばれる技術です。これは、ガラスやプラスチックの薄い板を用いて光の経路を曲げ、着用者の目の前に映像を表示する仕組みです。調査会社IDCによりますと、ディスプレーを搭載したスマートグラスの出荷台数は2030年までに1220万台に達すると予測されており、量産を可能にする製造装置への需要が高まっています。
今回の資金調達は、3Mベンチャーズや欧州投資銀行(EIB)などから支援を受けたものです。調達した資金を活用して、2024年9月時点で約30人だった従業員数をすでに60人に倍増させており、最終的には70人から75人規模まで拡大する方針です。
モルフォトニクスのヒューゴ・ダ・シルバCEOによりますと、同社は製造装置を販売するだけでなく、製造プロセスの導入支援や化学薬品の提供も行っているということです。現在は中国、台湾、韓国、アメリカに拠点を置き、アジアを中心に事業を展開しています。来年初めに出荷予定の次世代装置では、年間600万個以上のウェーブガイドを生産できるとしています。
さらに同社は、ディスプレー分野にとどまらず、データセンター向けの光通信技術分野にも進出する計画です。電気の代わりに光を用いてサーバー間でデータを転送する光集積回路向けの部品製造を視野に入れており、すでに顧客による技術検証が完了しているということです。
現在、同社の収益の約90%はハードウェアの販売が占めており、これまでに世界で10から15のシステムが稼働しています。今後2年から3年で稼働数を50に増やし、ライセンスやサービスによる収益の拡大を目指すとしています。
