米国のAI(人工知能)開発企業「Arcee」は、中国企業が開発したオープンソースのAIモデルについて、本質的な安全上の脅威には当たらないとの見解を発表しました。同社は、中国製モデルを禁止するのではなく、米国内での技術開発を促進すべきだとしています。
中国製の「オープンウェイト」と呼ばれるAIモデルの性能が向上し、利用が拡大する中、アメリカ国内ではその対応をめぐる議論が活発化しています。トランプ政権が利用を制限する可能性が取り沙汰されているほか、アメリカの大手AI企業も懸念を強めているということです。
中国のアリババなどが提供するモデルは、アメリカの大手企業が提供する非公開のモデルに比べて、運用コストを大幅に抑えることができます。このため、アメリカ企業の利益を圧迫するだけでなく、安全保障上の脅威になるのではないかという懸念が広がっています。
しかし、アメリカ企業向けに独自のAIモデルを開発している「Arcee」の最高技術責任者(CTO)、ルーカス・アトキンス氏は、こうした懸念を否定しました。アトキンス氏は、中国製のモデルが他のオープンソースのソフトウェアに比べて危険性が高いわけではないとしています。
アトキンス氏によれば、AIモデルの仕組み上、開発元の企業が利用者のシステム内で稼働しているモデルにアクセスすることは不可能だということです。また、モデルを導入する企業は、事前に独自のセキュリティテストを実施し、特定の用途に合わせて調整を行うため、安全性を確保できるとしています。
さらに、AIモデルが悪意のあるプログラムを自動的に生成するリスクについても、理論上は考えられるものの、現実的には極めて困難だということです。企業は複数のモデルを利用できるシステムを構築しており、特定のモデルに依存し続けることはないとしています。
アトキンス氏は、「中国製モデルの禁止を議論するのではなく、アメリカ国内で優れたオープンソースの環境をどのように育成するかを考えるべきだ」と指摘しています。また、中国のモデルから技術的に学ぶことも多いとしたうえで、競争に打ち勝つためには「より優れたモデルを開発して提供していく方針だ」ということです。
