アメリカのIT大手セールスフォースの元幹部らが設立したスタートアップ企業「June(ジューン)」は、企業が人工知能(AI)を導入する際の課題を解決する新たなプラットフォームを開発し、およそ31億円の資金調達を実施したと発表しました。
現在、大企業がAIツールを既存のシステムで確実に稼働させることは難しく、専門のエンジニアを派遣して立ち上げを支援する新たなサービスが急増しています。ジューンの最高経営責任者(CEO)を務めるエフラト・ラポポート氏は、「AIの普及により、逆説的に専門的なサービスの需要が高まっています。業界はより多くの人材を雇うことで対応しようとしています」と指摘しています。
こうした課題に対し、ラポポート氏ら4人の共同創業者は、AIをより広く活用するための新たなアプローチを提案しています。同社は、セールスフォースのマーク・ベニオフCEOが率いる投資ファンドなどを通じて、2000万ドル(日本円でおよそ31億円)の初期資金を調達しました。この資金調達には、マイケル・デル氏などの著名なIT経営者も参加しているということです。
創業者の4人は、2017年に音声認識AIの企業を立ち上げ、その後セールスフォースに買収された経歴を持ちます。彼らは数年間にわたり同社のAIプロジェクトに携わった後、顧客が既存のシステムにAIを導入する際に直面する困難を目の当たりにし、再び独立してジューンを設立したとしています。
企業がAIモデルを導入する際、既存のデータ管理プラットフォームと連携させる必要があります。ラポポート氏は、「AIが価値を生み出す前に、古いシステムの問題に対処しなければなりません。データが分散し、業務プロセスが複雑化しているうえ、長年の技術的な課題が蓄積されています」と述べています。
ジューンが提供するプラットフォームは、企業の既存システムを分析して業務プロセスを把握し、課題を特定します。そのうえで、AIを活用した最適なプロセスを構築し、システム環境を整えるための具体的な手順を自動的に提示する仕組みだということです。これにより、データの重複を解消したり、必要なデータに接続したりする作業を簡略化できるとしています。
アメリカの住宅ローン大手CMGの戦略担当幹部は、AIの導入に行き詰まっていた際、ジューンのシステムを活用することで、専門のエンジニアに頼ることなく安全にAIを導入できたとしています。
ラポポート氏は、ジューンを専門のエンジニアやコンサルタントを補完するツールと位置づけています。一方で、顧客企業にとっては、外部の専門家に依存せずにAIを導入できるという点で、大きな利点になるとしています。
