アメリカのスタートアップ企業は、人工知能(AI)を活用して中小企業の経理業務を完全に自動化する新たなサービスを開発したと発表しました。既存の会計ソフトに代わり、リアルタイムで財務状況を把握できる仕組みを提供することで、経理業務の大幅な効率化を目指す方針です。
開発を主導したのは、元会計士のアハド・アリ氏です。アリ氏はかつて、20人のチームを率いて年間2000件以上の税務申告や帳簿付けなどを手がけていました。しかし、既存の会計ソフトが実際の経理担当者の使い勝手を考慮していないことに不満を抱き、クラウド型などの既存の会計システムそのものに限界を感じて、新たなサービスの開発に着手したということです。
アリ氏は、「中小企業が必要としているのは、より優れた会計ソフトではなく、ソフトウェアの操作自体を減らし、自動で処理してくれる仕組みだ」と指摘しています。
新たに開発されたサービス「Tabby(タビー)」は、金融データ連携サービスを活用して口座のデータをリアルタイムで取り込みます。さらにAIを用いて、企業の利益や損失などの財務状況を即座に可視化するダッシュボードを構築するとしています。
同社は、会計事務所向けのシステムも提供していますが、最終的にはエンドユーザーである中小企業に直接サービスを提供する戦略を掲げています。経理業務を完全に自動化し、インターネット接続や給与計算サービスのような月額制のインフラへと変革することを目指す方針です。これにより、中小企業の経営のあり方を大きく変える可能性があるとしています。アリ氏は「既存のソフトは経理をデジタル化したが、私たちはソフトウェアの操作画面そのものをなくしたいと考えている」と述べています。
事業は順調に拡大しており、サービス開始から14か月で5500社の中小企業が導入しました。年間経常収益(ARR)は約10万ドル(約1550万円)に達しているということです。
現在、チームはアリ氏を含む7人で構成されており、創業初期の資金調達として100万ドル(約1億5500万円)の調達を進めています。また、自然言語で操作できる新機能「Tabby Talk」の提供も予定しているということです。
会計ソフトの分野では、AIの普及により競争が激化しています。業界最大手の「QuickBooks」や、有力な投資家が支援する新興企業などの競合が存在しますが、アリ氏はアメリカ国内に3000万社以上あるとされる中小企業に焦点を当てることで、独自の市場を開拓できるとしています。アリ氏は「市場は非常に大きく、新規参入の余地は十分にある」と強調しています。
同社は、10月にアメリカ・サンフランシスコで開催される技術系イベントにも参加し、さらなる事業展開を図る方針です。
